らんちゅう専門 伊東養魚場 −趣味としてのランチュウ飼育− 





趣味と道楽


趣味の要素とランチュウ飼育

一般的に趣味の要素には、身体性・創作性・芸術性・自然性・知的性の5つが求められ、
これら5つの要素が数多く含まれている趣味ほど、楽しく長続きするとされています。

例えば趣味として人気の旅行を考えると、初めての場所で観光や散策や体験学習を行うと、
身体性・創作性・芸術性・自然性・知的性の全ての要素が満たされ充実感が得られる訳です。

この様な中で趣味としてのランチュウ飼育は、身体性・創作性・芸術性・自然性・知的性の
5つを存分に兼ね備えている上に、日常の中で直ぐに始められる手軽さも特徴だと言えます。

また、ランチュウには追及すれば限りなく深い世界があるのも特徴ですし、
ゆったりとした時間の流れる中でランチュウを鑑賞したり、品評会に参加したりすることは、
日常とはかけ離れた非日常として楽しむことが出来ます。














趣味の要素

1.身体性 → 身体を動かすもの
2.創作性 → 何かをつくるもの
3.芸術性 → 音・色・形・美などに関わるもの
4.自然性 → 自然に関わるもの
5.知的性 → 知的要素に関わるもの









趣味の発展

趣味を始めた場合、それを如何に発展させるかが今後の世界観を広げる上で重要となります。
逆に、趣味をただ単に続けているだけでは、飽きが来ることで長続きしなくなる訳です。

では、趣味を発展させるには何が必要かを考えた場合、そのヒントは自分自身の中にあります。
下記にある趣味の段階にて具体的に浮かんだものが各自の趣味を発展させる答えと言えるでしょう。









趣味の段階

@第一段階
趣味を始めるきっかけがあった段階です。趣味を通して「何がしたいか」や「何がプラスなのか」を考え、
そこに自分なりの「こだわり」や「楽しみ」を持ち始めます。

A第二段階
仲間と共有したいと考え始める段階です。自分なりの「こだわり」や「楽しみ」を
仲間と共感し、互いに研鑽や競争を始めます。

B第三段階
さらに向上したいと考え始める段階です。ここまで来ると本格的な趣味になっており、
趣味に熱中することで「もっと究めたい」「結果を出したい」と思い始めます。

C第四段階
自分なりに答えが出る段階です。ここまで来ると趣味もセミプロの領域で、
究められた趣味を「本に書きたい」「発表したい」と思い始めます。

D第五段階
趣味を社会のために役立てる段階です。社会的立場が形成され、社会貢献することで
人々から感謝されたいと思い始めます。

E第六段階
これまでの経験を他の趣味に生かす段階です。さらに視野を広げようと、趣味を究める過程で
出会った別の世界にも興味を持ち始めます。









趣味の段階・・・趣味としてのランチュウ飼育

趣味を始めるきかっけや趣味を通してしたい事・こだわり・楽しみは人それぞれですので、
趣味を発展させる上での正解は存在しません。

しかし、ランチュウ飼育という趣味を発展させる上で、よく話に聞くパターンはありますので、
下記にそれぞれの主な理由を4つずつ記載します。









趣味の段階


@第一段階:趣味を始めるきっかけがあった段階

小さい頃に飼育していた
安らぎや健康の為
品評会に興味がある
販売をしたい


A第二段階:仲間と共有したいと考え始める段階

ランチュウの本やサイトを検索する
自分のサイトを持つ
養魚場を訪れる
品評会に参加する


B第三段階:さらに向上したいと考え始める段階

インターネットで飼育技術を調べる
本で飼育技術を調べる
養魚場で飼育技術を教えてもらう
品評会で飼育技術を教えてもらう


C第四段階:自分なりに答えが出る段階

インターネットで飼育技術を公開する
本にまとめて出版する
個人でランチュウの販売を行う
品評会で入賞を目指す


※第四段階・・・自身が使える時間に応じて今後を決める

個人飼育を中心とする
養魚場との交流を中心とする
品評会での活動を中心とする


D第五段階:趣味を社会のために役立てる段階

ランチュウを通して地域と関わる
本の出版やテレビの取材を受ける
養魚場としての役割を果たす
品評会の役員となる


E第六段階:これまでの経験を他の趣味に生かす段階

四季のある世界に興味を持つ
写真の世界に興味を持つ
別種類の魚に興味を持つ
芸術の世界に興味を持つ









趣味の発展・私自身を振り返って・・・@

小さい頃からランチュウと関わっていた中で、当時の大野養魚場を初めて訪れた際、
広いタタキ池のあちらこちらで、沢山のランチュウが泳いでいる風景に出合いました。

私の持つ池との違いは一目瞭然で、私の池でも再現したいと考えるに至りました。









趣味の発展・私自身を振り返って・・・A

週末には大野養魚場に足を運ぶ様になり、様々な飼育技術を教わりながら試行錯誤を続けました。
そして、1973年に私の考えを伊東養魚場として具現化することとしました。

その後、小学生の校外学習を受け入れ、地域の祭りでは金魚すくい部門を担当するなど、
ランチュウを通したボランティアとして、地域に役立てたのは嬉しい経験でした。

また、インターネットが発達してきた中で、2001年に伊東養魚場のサイトを作成し、
私の持つ飼育技術の掲載を開始、そして2008年春出版の「ランチュウ学」に全てを詰め込みました。









趣味の発展・私自身を振り返って・・・B

2004年からは品評会に挑戦し、10年間で全国大会入賞や愛好会役員を経験しましたが、
時間の調整が難しく、品評会の世界に留まらずに新しく興味を持った世界に視野を広げました。

様々な分野に興味が広がりましたが、特に日本の四季についての関心から、
日本庭園や花木に関心を持つようになり、美しい景色を求めて全国を巡る様になりました。

中でも美しい京都の雰囲気を楽しむうちに、実際の庭造りにも興味を持ち、
樹木や庭石の勉強をしながら我が家の庭を自身で作成してみました。庭も非常に奥深い世界です。









道楽としてのランチュウ・・・@

道を解して自ら楽しむことを道楽と言い、江戸時代の三大道楽(園芸・釣り・文芸)が有名ですが、
趣味とは異なり、道楽には良い意味での使われ方と悪い意味での使われ方があります。

良い意味では京都の着道楽・大阪の食道楽・神戸の履き道楽などの使われ方がある一方で、
趣味への熱中度が甚だしく、仕事や生活に支障を来してしまうと道楽者の如く悪い意味になります。

では、ランチュウは趣味なのか道楽なのか?
この答えは人それぞれですが、品評会の世界に熱中しすぎると道楽の様相が強くなると言われます。









道楽としてのランチュウ・・・A

品評会と真剣に向き合うことで日常が豊かになれば、ランチュウは良い意味での道楽となりますが、
品評会の結果に囚われ始めると、欲と共に入賞が義務化してしまう状況に陥る可能性があります。

そんな品評会での入賞は、シーズンの努力や使った金額によって達成が確約されるものではなく、
確率的要素を含みますので、全てを自分の思い通りに出来ない側面があることを忘れていけません。

もちろん、飼育技術を高めて努力を続けると、入賞の確率を上昇させることは出来ます。
しかし、入賞欲で結果だけを求めてしまうと、ランチュウは悪い意味での道楽になってしまいます。











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