2012年度



2人目の孫誕生と自宅の改修

戦前に建てられた自宅は老朽化が激しく、孫の世話を行う上で様々な問題が出現する状況でした。
そんな中、2012年6月には2人目の孫が誕生予定とあり、それまでに自宅の改修に踏み切りました。

2011年9月に知り合いの工務店に依頼し、完成まで期間は別棟での生活が強いられた事で、
ランチュウの飼育は管理するだけで精一杯となりましたが、2012年4月に無事改修が完了しました。

工事期間が長引いた事もあり、シーズン開始が例年より1ヶ月程度遅めの4月となりましたが、
無事に2012年度のシーズンを開始する事が出来ました。

そして2012年6月、2人目の孫も無事に誕生し、ようやくひと安心する事が出来ました。
このまま健康に育ってほしいと心より願っています。



時間の確保と使い方

自宅の改修や2人目の孫の誕生で、ゆったりとした飼育を思い切って行う方針としましたが、
一般的に考えられているランチュウ飼育とはかけ離れているのも事実でした。

しかし、私自身がランチュウに割ける時間が限られてしまった現実があり、
「如何に効率よくランチュウに関わるか。」について、真剣に考える日々が続きました。

また、様々な会の役職に推薦して頂けたことは非常に名誉なことでありましたが、
どうしても会に関わる時間が増え、想像以上になってしまったのも効率性を求めた理由の1つでした。



ゆったりとした飼育

2012年度の方針を決めた時点で、「ゆったりとした育成の中でも魚が創れるか?」という
大きな疑問が生じました。本来、ランチュウの育成は促進的飼育が求められる為です。

そして、ゆったりとした中で「如何に効率よくランチュウに関わるか。」について考えた結果、
私が把握している成長力のある系統を交配の中心とし、系統を信じながら育成を行うこととしました。



成長力があれば3日に1度の水換えは不要

例年より遅い4月中旬以降に産卵のピークを迎え、5月中は例年通りの忙しい時期となりましたが、
そこから予定通り魚の飼育ペース(餌や水換え)を緩める形としました。

水換えのタイミングについては、「2〜3日に1度」から「水が汚れたら」に変更し、
実際、天気にもよりましたが、シーズン中は5〜7日に1度となりました。

ただ、ゆったりとした育成では飼育密度に細心の注意を払う必要があり、
その判断を間違えると一夜にして急激な水質悪化を招くことも改めて経験しました。

結果、ゆったりとした育成では例年よりも幾分成長が遅いものの、
錦蘭会「夏季研究会」では当歳魚大之部に割り当てられるほどの成長が確保されるものでした。



ゆったりとした育成の弊害・・・@

系統を選べば、水換えの頻度を緩めても成長してくれることを今回実際に経験しましたが、
一方で、尾形を創ることが非常に難しくなってしまいました。

尾形を創る際に必要な泳ぎが抑制される為に、尾先を使わない魚が目立つ結果となった訳です。

これを調整するには、交配の時点で成長力のある系統に加え、尾張りが弱めの系統使う必要があり、
今ある飼育技術だけではなかなか調整が難しいとの結論に至りました。



※ゆったりとした飼育により裾捌きが非常に硬い様子が写真からも伺えます。




ゆったりとした育成の弊害・・・A

新しい試みは様々なリスクを伴いますが、泳がせて創る系統に抑制的な飼育を当てはめると、
研究会までなら殆どの当歳に「若さによる尾先の固さ」が残っている事から入賞を目指せます。

しかし、裾を使った泳ぎが最も求められる秋の品評会では、勝負が難しい結果となりました。
特に錦蘭会は魚が集まることから、入賞はより一層厳しくなるのが現状です。

今回、何とか秋の錦蘭会でも入賞しましたが、実力というよりも偶然の結果と考えています。

だた、2012年度の私の養魚場での飼育方法は、別の捉え方をすると非常に興味深く、
ランチュウ愛好家の裾野を広げるヒントが隠されていると考えます。

錦蘭会の研究会では十分に勝負が出来たこと、偶然とはいえ秋の本大会で役に絡んだことは、
時間の限られた方でも十分にランチュウを楽しめることが示せたと思います。



これまでを振り返って

2013年度の方針を決めるにあたり、私自身が2004年度から毎年記載している
シーズンの総括と翌シーズンの方針を改めて読み返してみました。

2004年度から品評会を軸とした飼育に舵を取り、ひとまず10年間を目標にしていた中で、
2013年度がちょうと10年目のシーズンにあたる為です。

また、趣味の世界と品評会の世界の両立が、最近の私自身の大きなテーマになっており、
これまでの私自身のその時々の考えを、今一度振り返ってみようと考えたのも理由です。



2013年度の方針・・・@

私自身にとって最大のテーマとなっている、趣味の世界と品評会の世界の両立が可能であるのか、
2013年度に最終結論を下す方針としました。

そんな品評会の世界について、これまで様々な経験をさせて頂き、ランチュウの視野も広がりました。
そして、様々な役職に推薦して頂けた事についても感謝しております。

愛好会の発展の為に仕事をするのは、私自身にとって非常にやりがいを感じるものですので、
少しでも役に立つことが出来ればと考えています。





※2013年度の種魚に使用する1系統 (※錦蘭会・秋で入賞した魚の系統です)




2013年度の方針・・・A

品評会の世界に大きく足を踏み入れて、2013年度は10年目を迎えるシーズンとなる訳ですが、
そのテーマを「趣味としてのランチュウ飼育」に決定することと致しました。

もちろん、これまでと同様に尾形に関する筋に拘りながら、カシラや太身を意識し、
客観的に今の時代に十分に即していると思える魚創りを行う方針です。

同時に1973年より養魚場としてランチュウと関わり、2004年より品評会での勝負に全力を注ぎ、
様々な経験をさせて頂いて来た中で、ランチュウが持つ様々な魅力を伝承して行きたい考えています。

2013年度もよろしくお願い致します。

                                             伊東養魚場 伊東敬光




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