2009年度


2009年度の総括と2010年度の方針。

これまでの歴史を振り返って、、、

会で魚を創る腕を認めてもらうには、少なくとも5年間連続して当歳役魚に入賞し、
その内の何度かは優等に絡む事が必要であると言われています。

同じ事の繰り返しでは3年もすれば過去に取り残されるランチュウの世界において、
5年連続して役魚に入賞するのは、試行錯誤を続けながら常に最前線にいなければ達成は出来ません。

特に会員数700名を超える錦蘭会の場合、5年連続して当歳役魚に入賞するのは限りなく困難で、
過去21年間(平成元年以降)を振り返っても、「家田 半之助氏」 「小林 保治氏」 「矢部 茂樹氏」
「田中 茂規氏」 「柏野 正彦氏」 「中野 志郎氏」 「高尾 昌幸氏」の7名しか達成していないのが現状です。

そんな中、私のこれまでの成績を振り返ると、必然的に2009年度の目標は決定されました。
「錦蘭会(秋)で当歳部門の役魚に入賞する。」という事です。

日本最大の会員数とそれに似合う非常に厳しい審査で有名な錦蘭会だからこそ、
その秋季品評大会で5年連続当歳役魚の持つ意味合いは非常に重いものである事は周知の事実です。


2009年度の育成の中で、、、

これまでよりも”ゆったり”としたペースの中で、私の筋を大切にしながら計17腹を残し、
少数精鋭にて会魚を中心とした育成を行っていました。

しかし、9月になって約十年ぶりに獣害(アライグマ)を経験する事となり、
結果、「錦蘭会 当歳小之部」に出品する予定だった今年1番の魚を含めて、会魚の半分近くを失いました。

残された魚のうち、錦蘭会で勝負が出来そうなのは、日らん全国大会用に育成していた魚でしたが、
仕上がりを10月下旬に予定していた為に、やや若さが残る状態で錦蘭会当日を迎える事となりました。

周知の通り、錦蘭会は魚が集まる為に審査内容は非常に厳しいものとなります。

特に「シャクレ」と「アール」は格好の除外基準(書籍記載 : 今後全国共通)であり、エラ下やツマミも嫌われます。
そして、これらが除外された上で、尾形(尾構えと裾使い)によって順位が決定される訳です。

そんな中、当日は「当歳魚大之部 東関脇」を獲得し、錦蘭会(秋)での5年連続当歳役魚を果たしてくれました。

錦蘭会の後、病気の予防に全力を注ぐ事で体調を整え、日らん全国大会に向けた飼い込みを再開し、
予定した大きさに若干足りませんでしたが、まずまずの仕上がりで結果的には「東前頭九」に入賞してくれました。

入賞魚の写真を見比べると、仕上がりの違いが明らかで面白いと思います。
左 : 10月4日 錦蘭会にて撮影 / 右 : 11月3日 日らん全国大会にて撮影。



2009年度の総括

今回、5年間連続して当歳役魚に入賞する事が出来ましたが、コンスタントに結果を出し続けるには、
不作の時こそ魚を創る技術が求められる事、魚だけでなく飼育環境にも常に注意する事を改めて学びました。

そして、他にも以下のような経験を致しました。

@餌やりにおける更なる試行錯誤
A薄飼い
B2010年度に向けた種魚導入の為の全国訪問
C泉州らんちゅう同好会への参加
D紀州らんちゅう同好会への参加
E日らんちう協会「全国大会」での三等入賞
F日らんちう協会「西部本部大会」開催に向けた準備
G規模縮小


規模縮小

池の数を増やし、たくさん産卵させるとたくさん会魚が出来ると思われがちですが、
実際の所、その答えは必ずしも正しいとは言えません。

会魚を創る上で最も大切な事は、早い段階で素質の持った魚を見つけ出し、
その魚の個性に合わせながら細やかに飼育を行い続け、少しずつ仕上げていく事です。

大規模に行うと毎日が飼育に追われる事で、1尾1尾の善し悪しに眼が行き届かなくなり、
それぞれの魚に応じた飼育ではなく、一律した飼育を行ってしまいます。

しかし、昔からの言葉が示す通り、会魚は勝手に仕上がるものではありません。
それぞれの魚が持つ素質を、それぞれの素質に応じた飼育を行う事によって仕上げるものです。

私の養魚場でも、規模縮小にて十分な管理出来る範囲で最大限を目指す方針と致しました。
この方針は2010年度も変わりません。


2010年度方針

今回、錦蘭会という舞台で2005年度から5年連続して当歳の役魚に入賞した事によって、
私の中で大きな区切りを迎える事が出来ました。

そんな中での2010年度の方針は、さらにシンプルに飼育を楽しむ事と致しました。

趣味の範囲をしっかりと持ちつつ、管理出来る範囲での強選別と少数精鋭、練り直した単純明快な飼育方法、
その上で、お問い合わせ頂いた方に限り、僅かながら会魚の分譲が出来ればと考えています。

もちろん、これまでと同様に筋と尾形に拘りながら育成する事に変わりはありません。

なお、2010年度から、日らんに属する審査員は東部・中部・西部に関係なく自由に行き来出来る様になり、
全国的に魚の見方が統一される傾向が強くなると予想されています。

中でも「シャクレ」と「アール」は、除外基準として徹底する事が真っ先にあげられていますので、
今後、これらが「サシ尾」と同等の欠点との認識がより一層広まるものと思われます。(詳しくは書籍記載。)

また、2010年度からの西部本部大会の開催にて、錦蘭会の位置付けが変わってくる事が予想されます。

これまでは、光田実氏が西部本部長と錦蘭会会長の両方をなさっていた為に、
錦蘭会そのものが西部本部大会の位置付けにありました。

しかし今後は、東部における観魚会と東部本部大会、中部における錦友会と中部本部大会といった具合に、
西部における錦蘭会と西部本部大会になる可能性が高いと言えるでしょう。

現在、西部本部に属する支部は「再編中」であり、錦蘭会の詳細についても「調整中」との事ですので、
詳細が判明次第、このホームページにて提示させて頂きます、

2010年度も、よろしくお願い申し上げます。

                                             伊東養魚場 伊東敬光




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