タタキ池について


1.タタキ池とは

昔からタタキ池が好まれている。

本格的にランチュウの飼育を行う場合、屋外でタタキ池を使って飼育する事が基本とされています。

タタキ池とは、昔からランチュウ愛好家が好んで使用しているコンクリート製の池で、
「1.8m×1.8m×25cm」や「1.6m×1.6m×25cm」の大きさが一般的です。

正方形が好まれる理由は魚の管理や掃除が行い易い為ですが、必ずしも正方形に拘る必要はありません。

池底には「魚溜まり」と言うくぼみがあり、水換えの際に魚や水底の汚れを集める役割を果たします。
また、魚溜まりの最も深い所に埋め込まれた白い陶器は青水の濃さを判断する際に重宝します。



●標準的なタタキ池の大きさ

・1.8m×1.8m×25cmの正方形。
・1.6m×1.6m×25cmの正方形。



2.タタキ池の設置場所

日照と風通しが確保できる場所が基本。

タタキ池を設置する場所としての昔からの基本は、日照と風通しが確保できる場所とされています。
季節感を感じさせる目的と病気の発生を予防する目的が主な理由です。

しかし、実際は日照に関して神経質になる必要はありません。

強過ぎる日照は1日の水温の変動を大きくする事、
急激な青水化や水質の悪化をもたらす事、魚を錆びさせてしまう事などの悪影響をもたらす為です。

この事から1日に3時間程度の日照時間が確保出来れば十分であると私は考えます。






3.タタキ池での飼育の利点

水温や水質の急変を防ぐ事が出来る。

タタキ池は屋外飼育になる為に、魚を自然に順応させながら飼育を行う事が出来ます。

さらに容積が大きい為に魚の運動量は増加しますし、水温や水質の変化も緩やかになります。
これらの結果、魚の健康は促進されて非常に体質の強い魚に仕上げる事が可能となります。

他にも、池の壁に付着した青苔を与える事が容易な環境である為に、自然な色揚げが可能となります。



●タタキ池の利点

・屋外で順育を意識した飼育が可能となる。
・魚の運動量が増加する。
・水温や水質の変動が緩やかになる。
・自然に発生する青苔を与える事が可能となる。






4.タタキ池の欠点・・・@

成長を促進させる上ではプラ舟に劣る。

タタキ池での飼育の欠点として、成長を促進させる上ではプラ舟に劣る事が上げられます。
つまり、飼い込みを行う場合、タタキ池で飼育するよりもプラ舟で飼育した方が大きくなるという事です。

理由として、低カロリーの青苔を常時食べる事で、高カロリーの人工餌の
摂取量が低下する為であると私は考えます。

また、稚魚期にタタキ池で飼育すると、水換えが非常に大変となります。
全ての稚魚を傷つける事無く拾うのは時間が掛かる為です。

他にも、タタキ池での飼育は、特定の時期に病気を発生させる傾向があります。
具体的には、孵化後3週間前後の時期にエラ病が発生しやすい傾向があると言う事です。

広いタタキ池で飼育をしている場合は、餌やりが難しい上に、魚を必要以上に泳がせてしまう事で
尾張りを失う結果となります。

病気の治療に関しても、タタキ池で行うよりもプラ舟で行った方が
早期に完治する事が判明しています。



●タタキ池の欠点

・成長の速度と治療成績はプラ舟に劣る。
・稚魚期の水換えが大変となる。
・孵化後3週前後でエラ病が発生し易い。
・必要以上の運動で尾張りを失う場合がある。



5.タタキ池のコンクリート面について

凸凹がある為に内面の表面積は広くなる。

タタキ池の内面はモルタルで仕上げている為に、長く使用していると表面に凸凹が生じてきます。
この結果、内面の表面積は広がり、しっかりとした青苔が付着する環境が出来上がる事となります。

ただ、コンクリートの老朽化が進むと表面の凸凹が粗くなり、
尾先を傷める結果となりますので青苔での表面保護が大切となります。

また、ひび割れによる水漏れも無視の出来ない問題であり、
毎年シーズンオフに点検と修理が必要となります。

モルタルにはカルシウムやケイ酸等が含まれており、これが水中に溶け出して、
魚の成長促進効果や病気の予防効果をもたらすと言う興味深い報告もあります。






6.ペンキ塗装について

ペンキを塗る事でタタキ池の欠点が解消される。

タタキ池にペンキ塗装を施す事でプラ舟の要素を組み込む事が出来ます。

つまり、表面の凸凹が消失する為に、青苔の生え難い飼育環境を創り出す事が出来ますし
、稚魚をすくい上げる手間や掃除の手間も軽減します。

水漏れがあった場合はペンキを塗る事で改善が期待出来ますし、
タタキ池で見られるエラ病の発生や治療期間などもプラ舟と同等になる傾向があります。

ただ、青苔が生え難い為に色揚げが難しくなる問題と
ペンキが剥がれてくる問題が生じるのも事実です。

特にペンキの剥がれに関しては深刻であり、非常に見た目が悪くなる上に
尾先を傷めてしまう事もあります。
この理由で、私はタタキ池のペンキ塗装はお勧め致しません。



●ペンキ塗装のタタキ池

利点
・好みの色が選べる。
・見た目が綺麗。
・青苔が生え難い環境となる。
・清掃が容易になる。
・表面の侵食を遅らせる事が可能。
・FRP容器に近い性能にする事が可能。

欠点
・油性を使用してもペンキが剥がれる。
・再塗装後の見た目は悪くなる。
・色揚げが難しくなる。
・水換えの回数が増す。
・水漏れの修理が難しくなる。
・塗料に有害物質が含まれる場合がある。



7.ウレタン塗装について

体調を落とし易くなる場合がある。

錦鯉の場合、ウレタン塗装を施した池で飼育をする愛好家が増えていますが、
ランチュウには害を与える可能性があります。

具体的には、エラ病が頻回に発生する事や魚が
全く泳がなくなる場合があると言う事です。

この原因が本当にウレタン塗装であるかは証明されていませんが、
現時点では避けた方が無難だと私は考えます。



8.私の養魚場のタタキ池

モルタルで仕上げたタタキ池が計31面ある。

私の養魚場にはブロックで枠組みし、内面をモルタルで仕上げたタタキ池が計31面あり、
何れもそれぞれ用途別に思考を重ねて大きさを設計し、自ら仕上げたものです。

なお、2004年度のシーズン後に池の一部を改修し、2005年度には新た11面を作成した為、
2006年からは以下の大きさの池で飼育しています。


●私の養魚場のタタキ池

2.0m×2.0m×深さ25cmの池が3面。
1.6m×1.6m×深さ25cmの池が12面。
1.2m×1.6m×深さ25cmの池が6面。
1.2m×1.2m×深さ25cmの池が10面。




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