12月の飼育

冬眠の開始。今シーズンの反省と来シーズンに向けた改良を考える。


12月上旬の飼育

1, 餌

これからの冬眠の為に、魚に十分な栄養を付けさせたいものですが与え過ぎはいけません。
消化不良をきたす為です。給餌は水温にあわせて行えば良いでしょう。

餌の与え方は、晴天の日に限り低蛋白ペレットを10匹あたりティースプーン1杯の分量で、
朝9時から昼2時半頃までに計1〜2回程度与える事を基本とします。

晴天でなかったり、水温が10度を下回っている様であれば餌は与えません。
青水中のプランクトンや青苔を食べさせます。


2, 水かえ

この時期の水かえは魚の体調維持や青水維持の為にも、
多くても2回までに留め、古水が4・新水が1の割合で行います。

この水かえが今年最後の水かえとなるうえに、今後約3ヶ月間は十分な水かえが出来ないので、
池底を中心に普段よりも念入りに掃除する必要があります。
しかし、壁に付着した青苔は取り除き過ぎてはいけません。冬眠期の魚の餌となる為です。


3, 病気の確認

これから長い冬眠期を迎えるにあたって、絶えず魚の調子を確認し、
調子の悪い魚と良い魚を同じ池で越冬させない様にする事が大切です。

病気の魚を見つけた場合、原因が何であるかを鑑別し、
例えば消化不良であるなら絶食させ、場合によっては水温を20℃程度まで上昇させるのも良いでしょう。

しかし、この時期ともなると水温が低下している為に、冬眠のような状態となる日も出てきます。
魚は動かずに池底に腹を付け、やや傾いている状態となるのです。
これを病気だと勘違いしてはいけません。水温が12℃以下である場合は問題ないでしょう。


4, 保温覆い

この時期はまだ冬眠期ではないので冬囲いをせずに、
夕方から翌朝にかけての保温覆いだけを使用するに留めるのが基本です。
不必要な覆いは過保護につながる為です。

しかし、例年よりも寒さが厳しく、魚が冬眠に入った様であれば冬囲いをすると良いでしょう。


5, 12月の飼い込み

秋の段階で病気となった魚や、サイズの小さい種魚はヒーターを使用して、
20〜25℃程度の水温で赤虫を中心に与えながら12月下旬までの飼い込みを行います。

病気で奪われた体力を取り戻して万全の状態で冬眠させる目的や、
種魚を大きくする事で、メス魚の卵を大きくする為です。卵の大きさは稚魚の大きさに関わります。


12月下旬の飼育

1, 餌

この時期になると本格的な寒波が来襲し魚は冬眠を始めます。
冬眠期は基本的に餌を与える必要がありません。

しかし、天候がよくて気温が上昇した日に限って、3分ほど湯に漬して消化を良くした低蛋白ペレットを、
10匹あたりスプーン0.5杯の割合で正午頃に1回与える場合があります。

ただ、この方法も賛否両論であり、消化不良を来たす事は殆ど無いのですが、
水中に細かく解けた餌の成分や糞の為に、水質の悪化が起こり、
冬眠期であるのに水換えが必要となったり、春までに体調を落とす魚が出て来る為です。

私の場合、飼育水が青水である限りは、餌を与える必要はありませんが、
新水の場合は、上記の方法で餌を与える様にしています。空腹で背干しをするのを防ぐ目的です。


2, 水かえ

冬眠期は基本的に水かえをする必要がありません。

ただ、冬場は乾燥の為に飼育池の水はどんどん蒸発しますので、
たまに減った分の水を補う事を基本とします。

補う水は、出来れば基本通り1週間以上前から汲み置きしているものが良いと私は思います。
汲み置きによって水質が安定し、補充での水質の変化を和らげる事が出来ると考える為です。


3, 保温覆いと冬囲い

保温覆いとは夜間だけの使用でしたが、冬囲いは24時間連続して使用するが基本です。
冬眠期は魚を寒さから守る為にも、冬囲いを行います。

また、冬囲いを行う場合は、あらかじめ水深を深めておく事も大切です。
水温の変化を和らげる目的のほかに、乾燥による水位の低下に備えると言う目的もあります。

冬眠期は飼育池に足を運ばない日が続く事があり、
その間、想像以上に水位が低下している事に気付いた事があると思います。

冬囲いの材質は、透光性があり雪の重みにも耐えるのものを北側を低くして設置するのを基本とします。

保温覆いもそうですが、池のどの程度覆うかは、飼育環境から判断すれば良いでしょう。
豪雪地域や冷え込みの厳しい地域では池全体を覆う場合が多いですが、
大阪では池の半分から3分の2程度を覆うに留めます。蒸れと結露が魚に悪影響を与えてしまう為です。


4, 12月までの飼い込み

5月下旬交配の場合、種魚の大きさにまで成長していない魚がいます。

この場合、12月までヒーターと照明を用いた飼い込みを行い、ある程度の大きさにします。
そして2ヶ月間の冬眠を行い、3月上旬に起こすと問題なく種魚として使用出来るのです。

ヒーターを使用している魚を冬眠させるには、2週間ほどかけて水温を低下させますが、
餌は3日ほど先の水温に合わせて与えると良いでしょう。

なお、30℃以上で飼い込みを行っていた場合は、冬眠は不可能となります。
魚が水温の変化に順応出来ずに死んでしまう為です。
種魚を飼い込む場合は、25℃程度としておく事が大切でしょう。


5, 反省と改善

魚が冬眠に入ったこの時期から、今シーズンを日記と共に振り返りながら、
反省と来シーズンに向けた改善を検討すると良いでしょう。
この作業をしなかった場合、同じ事を繰り返すばかりで進歩はありません。

私の場合、反省の中で最も大きなウエイトを占めるのは餌やりについてです。
与える時間帯や1回量1日量の検討と改善、使用したペレットの効果ついての検討と改善、
飼い込み方の検討と改善と言った具合です。

飼育環境についての改善もシーズンオフの大切な作業です。
雨よけの設置、池の修理や改良、飼育道具の点検など、
忙しすぎるシーズン中にはなかなか出来ないものですので、この時期に行うと良いでしょう。




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