8月の飼育

15時以降の飼い込み方で、魚の成長の度合いは大きく変化する。


8月上旬の飼育

1, 餌

台風さえ来なければほとんど晴れるこの時期、当歳魚は8cm程に成長しています。

この時期の餌の与え方は、赤虫を当歳魚10匹あたり15つの塊を、
朝6時から夕方5時頃までに計4回与え
その合間を縫ってペレットを当歳魚10匹あたりティースプーン2杯の割合で、
朝6時から夕方5時頃までに、計2回与える事を基本とします。

赤虫はペレットと別々に与えると良いのは、ペレットよりも赤虫に強い食欲を示すので、
魚が赤虫を食べている間にペレットは細かい粒子になり、水質の悪化を招いてしまう為です。

※水温が30℃を上回った場合、12時から15時の間は餌を与えずに泳がせる。


2, 実験

以前、この時期の餌の与え方について、次のような実験を行った事があります。
ある池には、15分程度で食べつくす量の赤虫を1日に4回与え、
もう1つの池には7分程度で食べつくす量の赤虫を1日に4回与える事で成長の比較を行いました。

結果、15分程度で食べつくす量を与えた場合、3回目・4回目の食いが悪くなり、
食べ残しも見られ、午後からは殆ど泳がなくなりました。
成長はしましたが急激に大きくなる事はありませんでした。

7分程度で食べつくす量を与えた場合、良好な食いを見せ食べ残しもありませんでした。
殆ど泳がなくなったのは夕方からで、成長は眼に見えるほど良いものでした。

魚には胃が無い為、5〜7分で食べつくす量を可能な限り多く与える方法が、
魚を成長させる上で良いという事が出来ると言えます。


3, 水かえ

この時期、強い日照と高水温の為に水の青味は驚くほど急激にすすみ、
水かえのタイミングが1日遅れるだけで魚はガス病を引き起こします。

したがって、水かえは2〜3日に一度のペースで、
晴天の日の午前中に新水を100%使用して行う事を基本とします。

しかし、この時期は高水温で安定している為、夕方に水換えを行う事も可能です。
水の青味が強いと感じた場合や水質が悪い様であれば、
翌朝を待たずに即座に水換えを行った方が良いという事が出来ます。


4, 飼育密度と選別

この時期も適切な飼育密度を保つ為に選別をしますが、
残っている当歳魚は今までの選別の結果、かなり良い姿をしているものがほとんどです。

この事から、この時期の第5回目の選別と行います。
次の点に注目して、1uあたり3〜5匹になる様にすると良いでしょう。

@片腹
A垂れ腹
Bバランスの不良
C系統の表現の不良
D鱗が荒い。揃っていない
Eこれまでの選別で見落としたもの

詳しくは「選別の方法 第5回目の選別」にて記載。


8月下旬の飼育

1, 餌

この時期、一雨ごとに朝夕が過ごしやすくなると同時に台風シーズンが始まります。

台風は多くの雨を長時間もたらすので池の水温は大きく変化します。
したがって、餌をいつもと同じ様に与えていると体調を崩して病気を引き起こす事となります。

台風が来る前日からは餌を与えず、雨覆いで池の3分の2から4分の3ほど覆い、
魚を台風から守る必要があると言えるでしょう。

このとき、雨覆いが突風で飛ばされないように、ブロックなどで厳重に固定しなければなりません。
そして台風が過ぎて1〜2日してから餌を開始します。

台風でない場合の餌の与え方は8月上旬と同じで、赤虫を当歳魚10匹あたり15つの塊を、
朝6時から夕方5時頃までに計4回与え
その合間を縫ってペレットを当歳魚10匹あたりティースプーン2杯の割合で、
朝6時から夕方5時頃までに、計2回与える事を基本とします。

※当養魚場では、この時期から色揚げ用餌を1ヶ月間与える事としています。
※水温が30℃を上回った場合、12時から15時の間は餌を与えずに泳がせる。


2, 水かえ

この時期も、強い日照と高水温の為に水の青味は驚くほど急激にすすみ、
水かえのタイミングが1日遅れるだけで魚はガス病を引き起こします。

したがって、水かえは2〜3日に一度のペースで、
晴天の日の午前中に新水を100%使用して行う事を基本とします。

場合によっては夕方に水換えを行っても良いでしょう。
ただ、夕方からの水換えは水温の高い時期限定であり、9月上旬までとする事が大切です。
魚の体調を守る為です。


3, 飼育密度

この時期にも選別を行いますが、残っている当歳魚はかなり良い姿をしている為に、
自分の好みや魚の将来性を考えたものが、淘汰を判断するうえで中心となります。

大きさから考えて、1uあたり2〜4匹になる様にすると良いでしょう。


4, 秋の飼い込みに向けて

秋の飼い込みに向けて会魚についてよく言われる事を紹介します。

@洗面器で泳ぐ練習をさせる事が大切。洗面器で綺麗に泳がせる事が目的。
A当歳時は両フンタンと胸ヒレと親骨が白い魚は派手さに欠ける為に損をする。
B二歳魚ともなるとヒレが大きく厚くなる為に色彩的な損はカバーされる。
C猩々の魚や三ツ尾の魚は嫌われる。
D平付けの尾で尾皿が横に広がっている魚はしっかりと飼い込んでも尾張りが保たれる。
E尾形は泳がせて創る。
F当歳時に腹が遠い魚でも二歳魚になると腹が出来る為に目立たなくなる。特にメス魚。
Gオス魚で背の浅い魚は飼い込むと腹が遠くなる。
H深い背下がりは下方向への間延びと判断する。会で使うなら当歳まで。
I色揚げは大会1ヶ月前から行っておく。高温時は色揚げの効果は出難い。
J魚の体型に応じて別飼いをし、飼い分けを行う。
K縦に伸ばす為に薄飼いが基本。
L大会直前に餌の量で胴回りの出来の調節を行う。




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