5月の飼育

この時期の飼育法で鱗並びが決まると言う事が出来る。


5月上旬の飼育

1, 餌

この時期、稚魚は2cm程にまで成長し、体色が鮒色になる事から青仔と呼ばれる様になり、
冷凍赤虫をそのまま食べられるまでに成長しています。

鱗をまとうまでの孵化後1ヶ月間は24時間連続して餌を与えていましたが、
ここからは餌を分割して与える切り餌とし、泳がせては食わす、泳がせては食わすを事を繰り返します。

したがって、この時期からは赤虫を青仔10匹あたり2〜3つの塊を、
朝7時から夕方3時半頃までに計3〜4回与え、
その合間を縫ってペレットを青仔10匹あたりティースプーン1杯の割合で、
朝7時から夕方3時半頃までに、計1〜2回与える事を基本とします。

冷凍赤虫は凍ったまま池に投与しても構いません。

冷凍赤虫はいくつかの会社が販売していますが、当養魚場ではベンリーパックを使用しています。
赤虫のサイズが小さい為に早い時期から青仔に与える事が出来る為です。


2, 水かえ

この時期からシュリンプやミジンコ等の生餌を与えず、冷凍赤虫と主体とした切り餌となります。

24時間連続投与によって魚は食い癖が付いていますが、
餌が変わった事で最初の内は食べ残しが発生する事が考えられます。

この場合、放置すると水質の悪化や消化不良をきたしますので、
夕方に掃除をし、翌日まで持ち越さない様にする事が大切です。

水換えは3日に1度のペースで晴天の日の午前中に行う事を基本とします。

割水はせずに100%新水を使用しますが、
早い時期に交配させていた場合は、この時期に割水を行い、水換えのペースを遅らせる事で、
縦方向への成長を抑制し、鱗並びを整える飼育をされている愛好家もいます。

なお、6月は長雨の為に成長の速度がやや鈍りますので、
この時期にしっかりと魚を成長させたいものです。

しかし、この時期の急激な成長は鱗の不揃いを生じさせますので、
過度の飼いこみは止めた方が良いでしょう。


3, 飼育密度

この時期になると青仔の体長は2cm程に成長していますので、
次の点に注意しながら第2回目の選別を行い、1uあたり20〜40匹を基本とします。

@さし尾
Aつまみ尾
B尾芯太
C尾芯の湾曲
D尾芯の傾き(尾芯振れ)
E尾芯の重なり
F尾づけの左右不対称
G尾肩の片落ち
H尾肩の片張り
I尾肩の上方への跳ね
J尾まくれ
Kビリ
L尾先の不揃い
M平尾・矢尾
N間延び
O筒つまり
Pこれまでの見落とし

詳しくは「選別の方法 第2回目の選別」にて記載。

第1〜2回の選別のときは「不良魚を選ぶより、良い魚を選べ。」という、
昔からの言葉の通り行うと、思い切った選別が出来ると言えるでしょう。


5月下旬の飼育

1, 餌

この時期は赤虫を青仔10匹あたり3〜5つの塊を、朝7時から夕方3時半までに計3〜4回与え、
その合間を縫ってペレットを青仔10匹あたりティースプーン1杯の割合で、
朝7時から夕方3時半までに、計1〜2回与える事を基本とします。


2, 水かえ

水換えは3日に1度のペースで晴天の日の午前中に100%新水を使用して行う事を基本とします。

この時期も魚をあおる飼育をし過ぎるのは良くありません。鱗並びが悪くなる為です。
鱗ならびについて人一倍に拘りを持ちたい場合は、成長が抑制されてしまいますが、
この時期も割水を行うと良いでしょう。


3, 飼育密度と選別

稚魚のときは高密度であっても成長が抑制されるだけで、
比較的病気にはなり難いと言う事が出来ますが、青仔からは話は別です。
高密度での飼育は非常に高い確率でエラ病を引き起こすのです。

したがって、飼育密度に常に注意し、会魚が目的であるならば、
薄く飼う事が非常に大切です。病気の予防と成長促進、泳がせて尾型を創る為です。

これまでの見落としを中心に、しっかりと魚を厳選する必要があるでしょう。
基準は1uあたり10〜20尾です。


4, 眼光りについて

眼の位置が歪んでいる為に生じる「眼光り」という欠点があります。
魚の周りにある瘤がまだ発達していない青仔の段階で、上見の際に眼の縁が金色に見えるものです。

将来的に肉瘤が発達する為に目立たなくなりますが、出来れば選別したい欠点です。


5, 出眼について

青仔の時期になって異様に眼球が突出する系統があります。
出眼という欠点を持った系統で、眼幅が広いと喜んではいけません。

また、青仔は肉瘤が十分に発達していない為だと勘違いをしてしまいがちとなりますが、
この欠点が多く出た系統は手放した方が良いでしょう。

将来的に肉瘤が発達したとしても、バランスの悪いカシラとなる為です。




top pageに戻る