将来性を判断する上での考え


1, 頭部について

頭部・胴部・尾部のバランスを考える事が大切。

ランチュウは頭部より胴部の方が縦方向に成長し易いと言う傾向があります。
したがって、当歳時に頭長の短い魚は将来的に総体のバランスを崩す事が考えられます。

逆に当歳時に頭長が長い魚は、将来的には総体のバランスが良くなる事が多いと言えるでしょう。



2, 肉瘤について

当歳魚らしく控えめの方が将来的に大成する。

当歳段階ではエラ蓋に全く肉の無い龍頭が評価されますが、
弐歳や親となった場合は、フンタンの良く発達した獅子頭が評価される傾向にあります。

エラ蓋に全く肉の無い龍頭は、弐歳ともなると総体のバランスが悪くなってしまう傾向にあります。
つまり、胴周りの太さに似合うだけの横幅のあるカシラにはなり難いと言う事です。

肉瘤が早くから発達するという事は、早熟な魚という事を意味します。
弐歳・親魚になった頃には頭が発達し過ぎてしまい、総体におけるバランスを失う事となります。
当歳魚の場合、肉瘤は当歳魚らしく控えめの方が将来的に大成します。

片方の目先が白い場合は、黄頭に仕上げる事でフンタンの左右差を最小限に留める事が出来ます。



3, 横見のラインについて

短めのつげの櫛よりは背の凹んだ魚を選ぶ。

ランチュウは成長と共に背が盛り上がっていく傾向にあります。
したがって、背に凹みがある魚や長めのつげの櫛の背である魚は将来的に問題はありません。

しかし、背高や短めのつげの櫛の背である魚は、背の成長の為に将来的に突っ込んだ泳ぎになります。
凸は将来的に目立つ一方であり、目立たなくなる事はなかなか考えられません。



4, 尾筒について

尾筒は太ければ良いと言う訳ではない。

当歳段階から太くしっかりとした尾筒である魚は、素人受けするものですが、
品評会では逆に評価を下げてしまう可能性があります。

尾筒のあまりの迫力の為に、尾形の美しさが際立って来ない可能性がある為です。
尾筒は尾形の美しさを引き立てる程度の太さが良いでしょう。

当歳時で太過ぎる場合は、将来的に総体のバランスを失う上に突っ込んだ泳ぎをする様になります。
逆に、当歳時は細くて評価が低い尾筒でも、将来的には良い太さになる可能性があると言えます。



5, 腹周りについて

頭部・胴部・尾部のバランスを常に考える事が大切。

腹周りは、しっかりとした骨格が基礎にある事が重要です。
単に脂肪を乗せて腹を創って行くと、将来的に総体のバランスを失ってしまいます。

腹周りは当歳時の秋から太見が出始め、弐歳時の秋には完成する場合が殆どです。
当歳時でなかなか腹周りが出来なくとも、将来的にはしっかりとした腹になる事が予想出来ます。



6, 尾皿について

鱗の枚数が多くて横に張り出している尾皿が理想。

尾皿の面積の少ない魚は、将来的に尾張りを失う可能性がありますのでハネた方が良いでしょう。
白は尾皿の発達していない魚が目立つ印象があります。

尾皿の鱗の枚数が少ない魚も嫌われる傾向にあります。
種魚として使用した際に、尾皿の良い仔が多く出ないと言う事が理由です。

尾皿に面積があっても、左右に広がっていない尾皿は意味がありません。
左右に広がった尾皿でこそ、裏からの強度が増す為です。



7, 親骨について

親骨の良し悪しで会に通用する尾形の基礎が決定する。

親骨は前にかがり過ぎると、将来的に巻き込む様な尾形になってしまいます。
また、成長と共に緩んでしまう傾向にあり、当歳時から緩みが目立つと将来性は皆無です。

一度緩んでしまった親骨は、元に戻す事は不可能である為、
弐歳や親となっても、しっかりとした親骨と維持出来る系統や個体を選ぶ必要があるでしょう。



8, 舵について

舵の歪みは尾筒や泳ぎに影響する。

舵は歪みがあったとしても、左右対称である場合は魚体への影響は少ないものですが、
左右のどちらかに偏っている場合は、尾筒が捻れる原因となり、将来性に乏しいと判断します。

また、舵と呼ばれる程である事から、泳ぎへの影響もあり、
1枚であれ2枚であれ中心線上に真っ直ぐに伸びていない場合は、将来的に泳ぎに悪影響を与えます。



9, 鱗について

白でも親魚としての将来性は十分にある。

系統の影響や過度の飼い込みの影響で、当歳時に背の鱗の数枚が光って見える場合がありますが、
将来的には、徐々に目立たなくなって行きます。

鱗が取れた場合は再生しますが、白いやや小さめの鱗となる事が殆どです。

錆が来てしまった場合、元に戻す事は不可能ですので錆びた魚の将来性は皆無です。
白い鱗は錆びにくい為、白は当歳時では評価が低くても、親魚としての将来性は十分にあります。



10, 泳ぎについて

泳ぎは横幅との関係が大きい。

孵化後は水温を2度上昇させて、魚が立ち上がるのを促しますが、
魚の立ち上がりが遅れたり、2日以上の不揃いであった場合はハズレ腹の可能性が高くなります。

ランチュウは横幅が増加するほど泳ぎも重くなり、頭を左右に振る傾向を示します。

一度泳ぎが重くなってしまうと、再び軽やかな泳ぎに戻す事は不可能である為に、
泳ぎを重視する場合は、常に横幅について慎重になる必要があるでしょう。




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