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魚に与える飼料
1.ゆでた卵黄
今はあまり使用されない。
ゆでた卵黄は栄養価が高く、水に溶かすと細かな粒子になる事から、
孵化直後の稚魚に与える餌として昔から使われています。
しかし、消化時間が約2時間以上と他の餌よりも長い上、腐敗し易い事、消化不良を来し易い事、
食べ残しが急激な水質悪化を招く事などの問題があります。
したがって、卵黄を使用する時は投与する回数や量に注意する事、
水質の悪化を防ぐ為に水換えを頻繁に行う事などの注意が必要となります。
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2.ミジンコ
ランチュウ育成の中心となる餌の1つ。
ミジンコはランチュウが最も好む餌の1つで、高い栄養価に加えて消化率や吸収率が
優れている為に、最大限の成長力をもたらします。
また、24時間与え続けても肥満魚に仕上がる可能性が低く、水を汚す心配もありません。
一昔前までは、池や水田に多くのミジンコが繁殖し、水面を赤く染めたものですが、
最近は十分なミジンコの採取が難しくなりつつあります。
●ミジンコの特徴。
・孵化後3ヶ月間に渡って24時間投与が可能。
・抜群の成長促進効果を示す。
・余分な肉が付き難い。
・しっかりとした骨格を完成させる事が可能。
・与え過ぎても魚の泳ぎが抑制されない。
・水が汚れ難い。
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3.赤虫
ランチュウ育成の中心となる餌の1つ。
赤虫はミジンコ以上に使用頻度の高い餌で、抜群の嗜好性と高い栄養価、
消化率や吸収率にも優れています。
したがって、肉瘤の発達促進や成長の促進において、
中心的な役割を果たすと言っても過言ではありません。
最近は、様々な冷凍赤虫が販売されていますが、赤虫含有率の高いものを選ぶ事が大切です。
原価を下げる目的で水の割合を多くしている場合がある為です。
●赤虫の特徴。
・成長促進の作用がある。
・カシラの発達促進の作用がある。
・消化時間はミジンコとペレットの中間程度。
・与え過ぎると魚の泳ぎは抑制される。
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4.ブラインシュリンプ
ミジンコに代わる餌として重宝されている。
孵化直後のブラインシュリンプは、高い嗜好性と栄養価、
消化率と吸収率に優れています。
また、稚魚はシュリンプに対して旺盛な食欲を示す為に、
素早く成長させる事が出来ると言えるでしょう。
ただ、費用が高い事とDHAが含まれていないと言う難点があり、
シュリンプだけを1ヶ月以上に渡って投与する方法は避ける必要があるでしょう。
5.イトミミズ(イトメ)
脂肪含有率が高い為に注意が必要。
イトミミズは赤虫に比べて脂肪含有率が高いと言われており、
与え過ぎると肥満魚に仕上がる可能性がある為に注意が必要です。
また、長さが3cm以上ある為に、魚がある程度の大きさに成長しなければ
与える事が難しいと言う問題もあります。
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6.植物性の餌
ビタミンやミネラル、カロチノイドが豊富。
植物性の餌は蛋白や脂肪の含有率が低いものの、ビタミンやミネラル、
カロチノイドが豊富に含まれている特徴があります。
したがって、植物性の餌はサラダの様なもので、健康増進や色揚げに
大きな効果を期待出来ると言えるでしょう。
なお、ランチュウに与える植物性の餌としては、植物性プランクトン、青苔、
ミジンコクキクサ、クロレラ、スピルリナ、カボチャ、ホウレンソウなどが有名です。
7.ミジンコウキクサ(仁丹藻)
デンプン(炭水化物)の含有率が高い。
ミジンコウキクサは小粒で消化され易い為に、ランチュウの餌として適していると言えます。
特徴としては、デンプンの含有率が高い事、水温が低下するとデンプンを体内に蓄えて水底に沈む事、
水温が上昇するとデンプンを使い果たして水面に浮上する事などがあります。
ミジンコウキクサの使用目的としては、黄頭に仕上げる事と腹を後方に引かせる事、
健康増進や色揚げを目指す事が中心となります。
しかし、魚の成長を考えた場合、低蛋白・低脂肪である為に赤虫などの生餌や
ペレットには及ばないと言えるでしょう。
●ミジンコウキクサについて
学名:Wolffia globosa (Roxb.) Hartog & Plas
生態:アオウキクサ科(Lemnaceae)
0.2〜0.5×0.3〜0.8mm
円形・楕円形・ひょうたん型
利点
・黄頭に仕上げる事で肉瘤を発達させる。
・腹を後方に引かせる。(腸の発達。)
・生餌であり消化され易い。
・天然のビタミン・ミネラルを豊富に含む。
・色揚げ効果。
・体調維持効果。
・日除けの効果。(水温上昇の抑制効果。)
・保温効果。
・水中への酸素供給と二酸化炭素の除去効果。
・アンモニアの除去効果。
・爆発的に繁殖する。
欠点
・生餌や人工餌には栄養価で及ばない。
・水温が低下する時期は逆に消化が悪い。
・冬場は水底に沈んでしまう。
培養方法
・直射日光のあたる所で培養を行う。
・池に水道水を張る。(パイポは不要。)
・ミジンコウキクサを投与。
・液肥を20ml/100リットルで投与。
・エアレーションを弱めに施行。
・36℃以上の水温にならない様に注意する。
・1週間に1〜2度は液肥を同量追加する。
・大繁殖は30℃以上で期待出来る。
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8.クロレラ剤/スピルリナ剤
早急な色揚げを行う際に使用される。
早急な色揚げを行う為に、クロレラ剤やスピルリナ剤を砕いて、
ペレットと共に与える方法があり、有効性を認めています。
クロレラ剤に含まれる色素は黄色のルテインであり、色合いが明るくなる傾向を示します。
また、スピルリナ剤に含まれる緑色のクロロフイル、青色のフイコシアニン、
β−カロチンなどで、色合いが濃くなるとされています。
ただ、色揚げに関しては青水での飼育に青苔と色揚げ用ペレットを組み合わせる方法で
十分な効果が得られると私は考えます。
9.カボチャ/ホウレンソウ
黄頭に仕上げる効果がある。
カボチャやホウレンソウには黄色のルテインが豊富に含まれており、
クロレラ剤と同等の効果が期待出来ます。
一般的に、体内に取り込まれた色素は体内を含めた全身に沈着する結果となります。
したがって、色揚げはもちろんの事、白いカシラを黄頭に仕上げる事が可能となる訳です。
ただ、一度沈着した色素は落ち難い事、カボチャやホウレンソウを与えると
急激に水質が悪化する事が問題となります。
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10.整腸剤
整腸剤は消化不良を防ぐ為に有効。
人用の整腸剤(ビール酵母・ビオフェルミン等)を砕いてペレットと共に与える事で、
消化不良の発生頻度が低下するという事が証明されています。
また、整腸剤の使用によって消化率や吸収率が増加し、魚の成長が加速すると言う報告もあります。
したがって、人用整腸剤を魚に与える価値は十分にあると私は考えます。
11.カルシウム剤
成長促進と尾張りに好影響を与える。
魚の成長促進や強い親骨形成を目的として、カルシウム剤を砕いて
ペレットと共に与える方法があります。
この有効性については証明されていますが、魚はエラからもミネラルを吸収する為に、
通常の飼育を行っている限り、カルシウム不足に陥る事は少ないと私は考えます。
12.ペレット
水分含有率が低く消化不良を来し易い。
市販されているペレットには様々な種類があり、栄養価と保存性に優れている上に、
低コストである特徴があります。
したがって、ペレットは生餌と組み合わせて使う場合が殆どであると言えるでしょう。
ただ、高栄養の為に肥満魚に仕上がる事、水分含有率が低い為に消化時間が長い事、
与え過ぎた場合は消化不良を来たす恐れがある事などが問題となります。
●ペレットの特徴
利点
・様々な種類がある。
・栄養価が良い。
・保存性がよい。(水分含有率:10%以下)
・低コストである。
欠点
・肥満魚に仕上がる可能性が高い。
・消化時間が長い。
・消化不良の原因になる。
・ペレットだけでは十分に成長しない。
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13.ペレットの分類
使用時期や使用目的を考えて選ぶ。
ランチュウの育成では、カロリー制限を行う時期、カロリー負荷を行う時期、
色揚げを行う時期、消化の良い餌を与える時期などがあります。
特に会魚を目指す場合、横幅のコントロールと成長曲線を考えながらの
給餌が求められると言えるでしょう。
この場合、1種類のペレットだけで対応する事は不可能となりますので、
ペレットの特徴を知った上での使い分けが大切となります。
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14.ペレットのタイプ
出来る限り「浮遊性」や「沈下性」を選ぶ。
ランチュウは下向きの口や発達したカシラなどの体型的な理由、
そして、軽快とは言えない泳ぎの為に、「浮上性」の餌は適していないと言えます。
したがって、出来る限り「浮遊性」か「沈下性」を選ぶ事が大切となる訳です。
ただ、濾過器や砂利を使用している場合、「浮遊性」や「沈下性」の餌は濾過器に
吸い込まれる事になりますし、砂利に埋もれて腐敗する原因にもなります。
これらを防ぐ為に、敢えて「浮上性」の餌を選ぶ場合がある事も事実です。
●ペレットのタイプ
・浮上性:水面に浮くタイプ。
・浮遊性:水中を漂うタイプ。
・沈下性:水底に沈むタイプ。
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15.粘結性について
流出や食べ残しを減らす事が大切。
魚がペレットを口に入れた際、ペレットの粘結が弱い場合は、
細かな粒子となってエラから流出する結果となります。
これでは折角のペレットを無駄使いする事になりますし、
流出は水質悪化を加速させる原因となります。
これらを防ぐ為には、ペレットがしっかりと粘結されている事・
食べ易い大きさである事・嗜好性が高い事などが必要となります。
16.嗜好性について
嗜好性の高い餌を選ぶ。
どれほど栄養バランスに優れている餌であっても、十分に食べてくれなければ意味がありません。
したがって、オキアミミールやエビミール(シュリンプミール)が主成分となっている餌を
選ぶ事が大切であると私は考えます。
また、イカミールや脱殻アルテミア、アミノ酸添加の餌も嗜好性が高いと言われていますので、
嗜好性を追求する場合、参考にすると良いでしょう。
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17.消化率と吸収率
消化率と吸収率が良い餌を選ぶ。
池に投与した餌を効率的に食べさせる事に成功したとしても、
消化率と吸収率が悪ければ意味がありません。
消化率が悪い場合、餌を吸収出来る大きさに分解する事が出来ませんし、
吸収率が悪い場合、糞の量と糞に含まれる栄養素の量が増加する結果となります。
これでは十分な魚の成長が見込めませんし、水質悪化の原因にもなります。
したがって、小麦粉の排除や特殊製法(EP)、
消化酵素や生菌剤の配合された餌を選ぶ事が必要となります。
18.餌の消化時間
ペレットは消化に時間がかかる。
消化時間に関して考えた場合、水分の多い餌は消化時間が短く、
水分の少ない餌は消化時間が長い傾向を示します。
したがって、プランクトンや生餌、青苔や浮草は消化時間が短いと言えるでしょう。
しかし、卵黄やペレットは消化時間が長い為に、給餌の間隔を考慮する事が大切となり、
2時間程度は間隔をおいた方が良いと私は考えます。
●餌の消化時間。
・1時間以内 ⇒ プランクトン。
・1時間程度 ⇒ ミジンコ・青苔・浮草。
・1時間半 ⇒ 赤虫。
・2時間程度 ⇒ 卵黄・ペレット。
※1回量を増やすほど消化時間が延長される。
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19.栄養成分の比較
粗蛋白含有率の多い順に栄養成分を提示。
※スピルリナが金魚の色揚げに十分な効果があると仮定した上での記載。
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冷凍飼料・半生飼料
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高蛋白ペレット
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中蛋白ペレット
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低蛋白ペレット
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