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4月の飼育
4月上旬の飼育
1, 交配へ向けて
この時期になると水温の上昇はいっそう進み、昼間の水温が20度を超える日も多くなります。
順育の場合の交配時期は桜前線が目安となり、4月下旬から5月が中心となりますが、
3月下旬から4月上旬に交配を行いたい場合は、2月下旬から3月上旬にヒーターを使用して
魚を冬眠から起こしておく必要があります。
交配前に新水で飼育し、栄養価のある餌を与えると、魚の生殖腺は急激に成熟します。
逆に青水で飼育し、餌の量を控えると生殖腺の成熟は抑えられます。
また、餌にヨウ素やビタミンをしみ込ませたものを与えると、交配がスムーズとなります。
2, 餌
順育の場合、昼間の水温が20度を超える日が多くなる事から、
この時期からは4月下旬の交配に向けた飼育を本格的に開始します。
餌を与え過ぎずに青水で飼育し、メス魚の腹が出来上がるのを待つのです。
水温が下がる様であれは、ヒーターを使用した方が良いでしょう。
水温が20度を超えている事から、餌は赤虫を中心とし、
10匹あたり5〜10つの塊を、朝8時から昼3時頃までに計3回程与える事を基本とします。
餌にヨウ素やビタミンをしみ込ませたものを少量与えるのも良いでしょう。
水温の上昇から、魚は餌を求める素振りを今まで以上に多く見せる様になりますが、
交配への焦りや可愛さのあまり、餌を与え過ぎるのは良くありません。
脂肪が付きやすい為に難産となったり、消化不良を起こしやすい時期である為です。
餌の量は腹8分目として、足りない分を青水中のプランクトンや青苔で補う事が大切です。
3, 水かえ
この時期は、5〜7日に1回の割合で晴天の日の午前中に、
古水:新水が1:5の割合で水換えを行う事を基本とします。
青水が薄くなり過ぎると感じた場合は、もう少し割水の量を増やす事も大切です。
産卵刺激となる可能性がある為です。
水換えでは、オス魚とメス魚がきちんと別々の池で飼育されているかを、
追星の出現で確認する事も大切です。この時期になって追星が出てくる魚がいる為です。
4, 飼育密度
青水が維持でき、水換えのペースが速まらない密度であれは問題ありません。
5, 会魚
春の品評会が目的であったり、成長を促進させる目的である場合は、
ヒーターで水温を25〜30℃に上げ、夕方からは照明を使用事で飼い込みを行います。
餌は赤虫を中心に、二歳魚10匹あたり15つの塊程度の割合で、
朝7時から夕方4時頃までに計4回程与え、
その合間を縫う様にしながら、ペレットを二歳魚10匹あたりティースプーン3杯の割合で、
朝7時から夕方4時頃までに、計2回程度与える事を基本とします。
水換えのペースは3日に1度、100%新水を使用する事を基本とします。
4月下旬の飼育
1, 餌
4月上旬と同じ方法を基本とします。赤虫を中心として10匹あたり5〜10つの塊を、
朝8時から昼3時頃までに計3回程与える事を基本とするのです。
餌にヨウ素やビタミンをしみ込ませたものを少量与えるのも良いでしょう。
餌の量は腹8分目として、足りない分を青水中のプランクトンや青苔で補う事が大切です。
水温が20℃以上あるようであれば、ヒーターを取り除く事も考慮すると良いでしょう。
遅くとも5月上旬までに取り除くのが一般的です。
2, 水かえ
この時期も4月上旬と同じで、5〜7日に1回の割合で晴天の日の午前中に、
古水:新水が1:5の割合で水換えを行う事を基本とします。
なお、「交配日は水換えを行って7日後。」と言う言葉があります。
この時期の水換えが5〜7日に一度である事を考えると、
そのペースを崩す事無く、しっかりと濃い青水とした後に交配させると言う事です。
交配についての詳細は「交配について」にて記載。
3, 飼育密度
青水が維持でき、水換えのペースが速まらない密度であれは問題ありません。
4, 種魚への注意
交配後、飼育者の関心は稚魚に移ってしまいがちとなりますが、
この時期に最も注意しなければいけないのは種魚の体調です。
ブリーダーにとって、種魚は会魚よりも大切と言っても過言では無い為です。
良い種魚は何年にも渡って使用出来るものであり、
その間、安定して勝負が出来る会魚を創り続ける事が可能となる為です。
種魚に関しては、競走馬を例に出すと分かり易いかもしれません。
競争成績の良かった牡馬が優れた種牡馬になるとは限りませんが、
優れた種牡馬は競争成績の良い仔を何世代にも渡って数多く出すのです。
ランチュウに関しても、同じ様な事が言える印象があります。
優れた種魚とは、良系統で既に素晴らしい実績のある魚の事を言います。
系統通りに表現し切れていない魚でも、良系統であれば優れた種魚となれる可能性があります。
優れた種魚を見つけ出す為にも、可能な限り多くの魚を二歳時から種として使いたいものです。
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