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3月の飼育
3月上旬の飼育
1, 寒の戻り
この時期からは、暖かい日が見られる様になり、昼間の水温が10度をこえる日も多くなります。
しかし、最低気温が0℃と突然の冷えがある事も忘れてはいけません。
順育下では、床直しを行う事で魚を起こすのは最低気温が安定して6℃以上となってからの方が良いでしょう。
2, 餌
3月上旬になると日中の水温が10度を超える事から、魚が冬眠から目覚め始めます。
しかし、池の底や夜間の水温はまだまだ低く、魚が泳ぎ始めたからと言って適当に餌を与えると、
消化不良を引き起こす恐れがあります。
したがって、低蛋白ペレットを与える場合は3分ほど湯に漬したものを、
10匹あたりティースプーン1杯の割合で午後2時までに1〜2回与える事を基本とします。
3, 水かえ
最低気温が安定して6℃以上となった事を合図に、魚を冬眠から起こします。
つまり床直しをすると言う事です。
方法は、冬眠中に溜まった池底の沈殿物を掃除し、
古水:新水を1:1の割合で水換えを行う事を基本とします。
この場合、池の側面の青苔は取り過ぎない様にする事と、
青水維持の為に古水の割合を基本よりも多くするかの判断を行う事が大切です。
青苔や青水は、産卵期をひかえたメス魚に産卵刺激を与える事なく、卵を熟成させるのに役立ちます。
そして、青水から新水に環境を変化させる事で刺激を与え、スムーズな産卵を行わせる事が出来る為です。
この時期にまだ青水となっていない場合は、水換えや飼育密度を調節する事で、
交配時期までには、青水にした方が良いでしょう。
4, 飼育密度
この時期は魚を成長させる事が目的で無い為、基本となる飼育密度を保てば良いでしょう。
しかし、青水となっていない場合は密度を上げる事が必要となります。
高密度にする程、青水化は早く進む事が考えられます。
5, 冬囲い
この時期、昼間の気温はどんどん上昇しますので、
晴れの日や気温が高い日には積極的に冬囲いを取り去り、日光が池に注ぎ込む様にします。
この作業と床直しによって、魚に春を感じさせるのです。
しかし、天気が悪い日や夜間は冷え込みが大きいので、一日中の冬囲いは必要でしょう。
6, 性別の確認
当歳時の追星は例え出ていたとしてもメス魚の可能性がありますが、
この時期の追星の出現は、オス魚と断定しても良いでしょう。
この追星を基準に、オス魚とメス魚を別々の池に分けて飼育を始める必要があります。
オス魚がメス魚を追尾して無駄な体力を消耗し、体調不良から魚が病気になるのを防ぐ為です。
ただ、この時期にまだ追星の出ていないオス魚がいる事も事実です。
交配までは頻繁に魚の様子を観察したり、追星の出現を確認する事が大切でしょう。
7, 病気の確認
床直しの段階で、魚が病気になっていないかの確認をする事は重要です。
水温の上昇と共に、病原菌の繁殖と感染の拡大が生じる為です。
病気を発見した場合は、池にいた全ての魚の治療が必要となりますが、
この時期の水温は低い為に、ヒーターを使用する場合は20〜25℃の水温に留める必要があります。
この時期、30℃以上の高水温に魚は順応出来ない為です。
8, 2月下旬に起こした魚の場合
交配時期が3月下旬である為、この時期までに青水を完成させておく事が大切です。
餌については、水温に応じた量を与えますが、与え過ぎは難産の原因ですので、
やせない程度とする事が大切と言えるでしょう。
魚に交配期である事を感じさせる為にも、日中24℃を上回らないようにする事、
腹が出来たら夜間に18℃を下回らない様にする事も重要です。
9, 春季品評会に向けた春の飼い込み
会魚の場合は、冬眠中であっても飼い込む場合が殆どです。
特に出品した魚は、ヘルペスの発症を防ぐ為にも、なかなか冬眠させる訳にはいきません。
しかし、冬眠魚を出品する場合は、冬眠による痩せを取り戻し、見栄え良く仕上げる為にも、
ヒーターを使用して魚を起こし、3月下旬には24℃以上で飼い込みをしている必要があります。
4月からの飼い込みでは、間に合わない事が多いです。
3月下旬の飼育
1, 餌
3月下旬ともなると水温の上昇はいっそう進み、昼間の水温も10度〜15度になります。
この時期の餌は、低蛋白ペレットを10匹あたりティースプーン1〜1.5杯の割合で、
2時頃までに1〜2回与える事を基本とします。
もし冬に逆戻りしたような日には、病気の予防の為に餌を与える必要はありません。
交配に向けてヒーターを使用している場合は、水温に応じた量を与えると良いでしょう。
会魚で飼いこんでいる場合は、水温に応じた量の赤虫を与え始めると良いでしょう。
2, 水かえ
この時期の水かえは、交配期を見据えて良質な青水を確保する為にも、
古水が1・新水が1の割合で7〜10日に1度のペースで行う事を基本とします。
交配前の魚をすくう際は、洗面器などで周りの水ごとすくう必要があります。
ヒーターを使用している場合は、水かえでの水温差に注意が必要です。
会魚の飼い込みを行っている場合は、割水を行わずに3日に1度のペースでの水換えが必要です。
3, 飼育密度
交配に向けた青水の確保の為に、飼育密度の調節が重要です。
池底20〜25cmの所に沈めた白磁皿の縁が、ぼんやりと見える程度の青水にしたいものです。
会魚の飼い込みの場合は、やや低い飼育密度とする事が基本です。
4, 冬囲い
3月下旬ともなると気温の上昇と共に晴天の日が続くので、この時期に冬囲いを完全にときます。
変わりに、夜間の冷え込みを防ぐ目的で保温覆いを使用すると良いでしょう。
5, 3月下旬の交配
秋の段階で当歳魚の体長を13cm以上にする為にも、3月下旬に交配させる愛好家は大勢います。
確かに、この時期に交配させる事で魚は無理なく13cm以上に成長させる事が出来ます。
しかし、水かえでの温度合わせが難しくミジンコが取れない時期である為、労力が大きい事も確かです。
また、4月の交配でも13cm以上にする事が出来る事、
品評会で小之部がある場合、11〜12cmの当歳魚でも勝負が出来る事などを考えた場合、
どの時期に交配させれば最も良いかについての正しい答えはありません。
私の場合は、当歳魚を11月の段階で14cm以上にしたい場合は3月下旬に交配させ、
12cm程度としたい場合は5月上旬に交配させる様にしています。
※交配時期の昔からの基本は、4月下旬で桜前線に合わせると言う事です。
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