2月の飼育

2月上旬の飼育

1, 餌

2月上旬は1年の中でも特に寒さが厳しい為に、例え気温が上昇しても池の底の水温は非常に低く、
餌を与えてしまうと消化不良を起こす可能性があります。

この事から、この時期は飼育水が青水であろうと無かろうと、餌を全く与えないのが基本です。


2, 水かえ

この時期は特に寒さが厳しい時期ですので、水かえは一切せずに、
蒸発した分だけ、5日以上汲み置きした新水を加えるという方法が基本です。


3, 冬囲い

この時期も水温の変化を和らげる為に冬囲いを続けますが、
晴天の日であっても冬囲いを取り去るのは、逆に魚に刺激を与えてしまいます。

この事から、晴天の日であっても冬囲いをしたままと言う事が基本となります。


4, かけ合わせの検討

冬眠前に撮影した種魚の写真を元に、かけ合わせを検討する事は重要な事です。
この掛け合わせ次第で、翌シーズンの内容が予想以上に変わる為です。

カシラの出方や魚の体型、そして尾型を見比べながら、
欠点を補うような掛け合わせや長所を伸ばす掛け合わせなどについて考慮するのです。

※魚の特徴が最も出ている秋に写真撮影を行う事が大切です。


2月下旬の飼育

1, 餌

順育の場合、2月下旬から3月上旬にかけて魚は冬眠から徐々に目覚めます。

この時期のランチュウの姿は、長い冬眠の為に前年の秋の面影は全く見られないものです。
これを早く元の姿に戻そうと餌を与え過ぎてはしてはいけません。
まだまだ低水温である事、三寒四温を繰り返し天候が安定しない為です。

したがって、餌を与えるのであれば「今日はいつもよりも暖かい。」と感じた日に限り、
低蛋白ペレットを3分ほど湯に漬してから、
10匹あたりスプーン1杯の割合で、正午頃に1回だけ与える事を基本とします。


2, 水かえ

2月下旬ともなると水温の上昇が始まり、魚の動きも徐々に目立つようになりますが、
魚の体内活動はまだまだ休止状態に近いので、冬眠から完全に目覚めたとはとても言えません。

したがって、この時期も基本的には水かえは行わずに、
蒸発によって減ってしまった水量をたまに補う程度を基本とします。

しかし、水質の悪化が目立つ時は、晴天の日を選んで水かえを行った方が良いでしょう。

その際の方法は、魚を移動させずに水だけを4分の1から5分の1程度捨て、
そこに5日以上汲み置きした新水を加えるという方法が基本になります。
水深によって温度差がありますので、水を極力かき混ぜないよう注意しながら行います。

水質の悪化の原因が池底の沈殿物にあると考えた場合は、
床直しを行い、新水:古水が1:1で水換えを行った方が良いでしょう。

このときも、魚を外気と接触させる事は絶対にしてはいけません。
非常に高い確率で体調を落としてしまう為です。


3, 飼育密度

飼育密度に注意する必要があるのは、当歳魚や二歳魚が成長期であるとき、
水質が悪化を緩めたいとき、青水をつくりたいとき、青水を維持させたいときです。

冬眠中はそれほど飼育密度にこだわる必要はありません。
ただ、仲間無く1尾だけで冬眠させた場合、体調を落としやすく傾向があると私は感じます。


4, 冬囲い

この時期も水温の変化を和らげる為に冬囲いを続けます。

しかし、2月上旬よりも日照時間が増加して水温も幾分上昇する為に、
天候の良い日は冬囲いの一部または全てを取り去り、魚に春が近い事を教えてあげるのが基本です。

なお、冬眠中は冬囲いを晴天でも触らない方が良いと言う愛好家もおられます。
環境の変化が冬眠の中断を引き起こす為、逆に魚に負担をかけると言うのが理由です。

確かに、冬眠の中断と言うのは生死に関わる問題と言う事が出来ますので、
この考えには十分に納得させられます。

ただ私の経験上、ランチュウに限ってはどちらでも良い印象があります。


5, 3月下旬に交配予定の場合

交配時期を3月下旬に早めたい場合、この時期まで魚を起こす必要があります。
交配の為には、「冬眠50日、起こして50日」と言う言葉がある為です。

一般に、生物は季節の変化を水温と日照時間で感じとります。

したがって、理想的な魚の起こし方は、ヒーターを使用して1ヶ月程度かけて20℃の水温にすると同時に、
夕方からは蛍光灯を使用して1ヶ月程度かけて5月上旬の日照時間が確保出来る様にする事となります。
しかし私の経験上、水温を上昇させるだけでも交配させる事は可能と言う事が出来ます。

オス魚をメス魚よりも早い時期に起こすと、交配のタイミングを逃す事はなくなります。
交配のタイミングはメス魚の腹の出来次第である為です。未熟であっても過成熟であっても不可です。

逆に、オス魚は過成熟であっても問題なく交配させる事が出来ます。
それだけではなく、冬眠を全くさせなかったとしても、オス魚は交配に使用出来ると言う特徴があります。




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