購入した場合の注意


1, 池に入れる魚について

同じ種類で同じ大きさの魚を入れる。

金魚には様々な種類がありますが、大きく2つのグループに分ける事が出来ます。

ランチュウの様に横幅があり、尾が開いている為にすばやく泳げないグループと、
金魚すくいで見かける小赤の様にスマートで、
尾が閉じている為にすばやく泳げるグループです。

これらのグループを同じ飼育容器で飼育した場合、泳ぐ速度の違いが
ストレスとなりますし、餌を食べる速さの違いが成長差をもたらす事になります。

また、魚の大きさが違い過ぎる場合、大きい魚が小さい魚を傷つけてしまう場合があります。

例えば、成魚は稚魚を食べてしまいますし、
コイは金魚を餌と間違ってしまいますので注意が必要です。

したがって、同じ飼育容器には同じグループで同程度の大きさの金魚を入れる事が基本となります。



2, 池に放流する前に

運搬容器と飼育池の水温差をなくす事が大切。

購入した魚を飼育池に放つ場合、直ぐに魚だけを放流するのは良くありません。

運搬容器と飼育池の水温差によって体調を落とし、最悪の場合は
ショック死する可能性がある為です。

これらを防ぐ為にも、運搬容器と飼育池の水温の変化を無くす事が大切です。

それには、持ち帰った運搬容器をそのまま飼育池に浮かべ、
水温差が無くなるまで15〜20分程待つのが良いでしょう。

もし運搬容器を池の水に浮かべる事が出来ない様であれば、新しい飼育水を
運搬容器内に少しずつ加える方法を行うと魚への負担は軽減すると言えます。






3, 運搬容器中の水について

運搬容器の水を飼育池に加えた方が良い。

魚を導入した場合、運搬容器の飼育水をどの様にするかが問題となります。
つまり、そのまま飼育池に加えるのか捨ててしまうのかの判断が必要となる訳です。

これについて、私は運搬容器の水を飼育池に加えた方が良いと考えております。

魚を空気に触れさせない目的と、新しい環境との水質の変化を和らげる目的、
逆に病原菌が混入していた場合、運搬容器の水をどうしようが、
魚は必ず病気を発症してしまう為です。

ただ、運搬容器の水がひどく白濁している場合は、水質の悪化が疑われる為に
飼育池には加えないで捨てた方が良いでしょう。



4, 放流の仕方

運搬容器から泳ぎ出させる様に放流する。

運搬容器との温度合わせが終了したら、袋を開けて魚を池に放流する訳ですが、
放流前には実際に手を使って運搬容器と飼育池との水温差を確認する事が大切です。

水温差が無ければ袋の口を水中に沈め、運搬容器に新しい飼育水を静かに流し込み、
そして、運搬容器から泳ぎ出させる様にして魚を放流すると良いでしょう。

なお、運搬容器の水が白濁している場合や、水を加える事に抵抗がある場合は、
温度の確認を行った後、袋から魚を取り出して放流する方法が一般的です。
ただ、手の体温を水温に近づけてから魚に触れる事を忘れてはいけません。



5, 隔離の重要性

導入した魚は必ず別飼いを続ける。

導入した魚と以前からいる魚は、別飼いをする事が大切です。

別飼いをしないと休養・餌の調節・病気であった際の伝染の予防等が出来ない為に、
導入魚のみならず、以前からいる魚の全てを落としてしまう事になりかねません。

隔離場所は、前からいる魚の池から離れており、かつ風下である場所が理想です。
風下へと向かって伝染する傾向を見せる病気(エラ病)がある為です。
空気感染の可能性があります



6, 病気の予防の為に

到着して1週間は0.5%塩浴で様子を伺う。

到着した新しい魚を上から横から心ゆくまで眺めたいものですが、
魚の体調の事を考え、到着してから1週間は0.5%の塩水中で休養させる事が大切です。

私の場合、エラ病など細菌性の病気の発症を未然に防ぐ為にも、
先ずメチレンブルーとエルバージュを併用した0.8%塩浴を
48〜72時間行う様にしています。

到着して最初の1週間は必要以上に魚を刺激しない為にも、
病気の確認と水の状態の確認、そして餌を与える時以外は
完全に放置する位の気持ちが大切です。



●導入魚の病気の予防の為に

@0.5%塩浴で様子を伺う事が基本。
A薬を併用した0.8%塩浴も効果的。
B病気の確認を行う。
C水の状態の確認を行う。
D水質悪化が目立つ様であれば水換えを施行。
E気にかけ過ぎない。

※最も怖いのがウイルスを持ち込む事である。






7, 餌を与え始める時期について

餌は到着後1〜2日後から少しずつ開始。

1〜2日間の様子伺いが終わり、魚に活動性が見られる様であれば、小量ずつ
数回に分けて消化の良い餌を与え始め、3〜5日以上かけて徐々に量を増やします。

しかし、可愛さのあまり、いきなり大量の餌を与えてしまうと、高い確率で
病気を引き起こしますので、魚の様子を伺いながら焦らずに慎重に与える事が大切です。

なお、昔からの言葉として「購入した魚は餌を1週間絶つ事が大切。」と言われます。
この言葉は基本として大切ですが、実際は1週間も待たない場合が殆どです。

例えば青仔を購入した場合、1週間の餌きりによって1cm程度の成長のロスを生じます。
これは「餌きり」と「餌きりで痩せた分」を取り戻す為に、計半月程度の成長の遅れが
生じてしまう事に基づきます。

魚の体調面を最優先として考えた場合、1週間の餌きりは有効ですが、品評会に向けて
魚を成長させたい場合は、導入後1〜2日からの餌やりが適当だと言えるでしょう。

また、夏場で青水や青苔がない場合、1週間の餌きりで魚は空腹となり、
逆に体調を低下させる事がありますので注意が必要です。

ただ、冬眠期や青水や青苔がある場合は、餌きりを数週間行っても
魚が死んでしまう事はありません。






8, 水換えの時期について

1週間後に最初の水換えを行うのが基本。

導入魚の最初の水換えは1週間前後に行うのが基本と言えます。

これより早ければ、魚の体調や餌の量がまだ安定した状態に無い為に、
調子を落とす原因となります。逆にこれより遅ければ、水質が悪化してしまう為に、
エラ病等を引き起こす可能性が高くなります。

ただ、実際は必ず1週間前後と言う訳ではありません。夏場であれば
日陰や餌を調節しながら3〜5日前後とする場合が多くなりますし、冬眠直前であれば
水換えをしないで冬眠させ、春を待つ場合もあります。

水換え後は、塩を使用せずに再び別飼いを続け、餌を他の魚と同程度与えながら様子を伺い、
以前からいる魚との合流時期を検討する事となります。

なお、メチレンブルーとエルバージュを併用した0.8%塩浴法の場合、
48〜72時間後に最初の水換えが必要となります。






9, 導入魚の合流の時期について

病気を持ち込んだかの判断には半年必要。

魚を導入した場合、病気を持っていないかどうかを判断する為に、
2〜3週間様子を見て大丈夫である様なら安心と考える愛好家が多いと思います。

しかし、半年経たないと病気を持ち込んだかの判断が出来ない場合が
ある事を忘れてはいけません。低水温では活動を休止していたものが、
春になって活動を再開する場合があると言う事です。

このパターンを示す代表的な病気が金魚ヘルペスです。品評会出品魚や新規導入魚を
冬眠から起こした際に、ヘルペスが活動を再開し、全ての魚を落としてしまった経験を
お持ちの方が予想以上に多くおられます。

金魚ヘルペスが発生してしまった場合、有効な治療法が無い為に
全滅を覚悟しなければなりません。

これを防ぐ為にも、ヘルペスを持ち込まない為の予防に徹する事が重要です。

最近はインターネットの普及で全国から簡単に魚を取り寄せる事が出来る様になりました。
その分、病気を持ち込む可能性も非常に高くなっていますので十分な注意が必要です。

結局の所、新規に魚を導入する場合は、遠方でも実際に養魚場を訪れて、
魚の状態を確認する事が予防の上で重要だと私は考えます。



●導入魚の合流の時期

@一般的には、水温が高い時期なら2〜3週間の隔離で良いと判断する場合が殆ど。
Aヘルペスは半年経たないと判らない場合があるので注意が必要。

※ヘルペスは持ち込まない様に予防する事が大切。
※病気の予防の為にも、実際に訪れて自分の眼で確認してから購入する事が大切。







10, 私が行う導入時期

尾形を求めるのであれば秋以降の導入が必要。

カシラや太身は「系統」さえ手に入れれば仔への再現が可能である為、
魚の単価が安い夏までに導入を行えば良いでしょう。
この場合、姿が悪くても問題ありません。

しかし、筋を持った尾形の導入を行う場合、良い尾形の魚を導入する為にも、
秋以降に導入する事が大切です。







top pageに戻る