カラムナリス病 (最近は、鰓腐れ病をエラ病と表現)

口腐れ病・鰓腐れ病・鰭腐れ病・尾腐れ病が含まれる。

 概要

カラムナリスの感染する部位によって、口腐れ病・エラ腐れ病(エラ病)・
ヒレ腐れ病・尾腐れ病・皮膚病と呼び名が変わります。

いずれも発病すると進行が極めて早い上、伝染性も非常に強いので
早期発見が大切だと言えるでしょう。

なお、ランチュウの病気ではエラ病の頻度が最も高い為に、
魚の様子がおかしいと感じた時は最初にエラ病を疑うのが一般的です。


 原因生物

滑走細菌類の一種でグラム陰性菌のフレキシバクター・カラムナリス
(Flexibacter columnaris)






 生態

詳しくは、「鰓病の最前線」にて。


 好発時期

水温が14℃以上の時期に発生し易い。


 症状

1)口腐れ病

初期は口の周辺が黄〜赤色になる程度ですが、やがて症状が進むと、
口の先端部分の組織が壊死する事で崩れ、口の一部が欠けてしまう場合があります。

また、全身への感染拡大も見られ、食欲や活動性の低下と共に急激にやせ細り、
エラ病による酸欠や感染による消耗が原因となって死んでしまう結果となります。


2)鰓(エラ)腐れ病

詳しくは、「鰓病の最前線」にて。






3)鰭(ヒレ)腐れ病・尾腐れ病

初期はヒレや尾が赤く充血し、やがて黄白色になったかと思えば先端部から徐々に溶け始め、
やがて骨格(鰭条部分)だけが残る無残な状態となります。

この時期までに感染は全身に広がりを見せ、エラ病による酸欠か感染による消耗が
原因となって死んでしまう結果となります。






4)皮膚病

口腐れ病・エラ病・ヒレ腐れ病・尾腐れ病が先行し、感染の拡大と共に
皮膚病を引き起こす場合が多いと言えるでしょう。

初期は体表面に淡黄色や白色の付着物が見られると共に、
体を池の底や壁に擦り付ける泳ぎをします。

やがて、食欲や活動性の低下と共に体表面全体が分厚い粘膜と白色の付着物で覆われ、
ひどい時は脱鱗や粘膜剥離が生じる場合もあります。

そして、エラ病による酸欠か感染による消耗が原因となって死んでしまう結果となります。


 有効と考えられる薬剤
 
 液体  グリーンFゴールドリキッド
 パラザンD
 サンエース
 
 粉末  グリーンFゴールド顆粒
 エルバージュエース
 ハイートロピカル
 フレッシュリーフ






 当養魚場での治療方針

 @〜Gを同時に開始する事を基本として、最大7日間様子を伺う。

 @100%新水を入れた舟を用意する。(タタキ池での治療は絶対に不可。)
 A舟の4隅(少なくとも2隅)にエアレーションを行う。(エラ病は酸欠を惹き起こす為。)
 B0.8%の塩水とする。(食塩で無くて可)
 Cエルバージュ4g/100Lを投与。
 Dやや低い密度で薬浴させる。
 E10時〜16時は池の8割をスダレで覆う。
 F1日おこなってエラの動きが正常なら治療は完了。(正常で無い場合は続行。)
 G元の池は水換えを行うだけでよく、消毒の必要は無い。

 ※エラを掃除してあげる感覚で行う事が可能。
 ※1日(24時間)の治療だけでは心配なら、最長7日間まで治療継続が可能。
 ※塩やエルバージュは初回に1度だけ投与すれば良く、追加投与の必要は無い。
 ※水温をヒーターで上げる必要は無い。
 ※0.6%塩浴なら治療期間が1週間程度かかる上、水が汚くなると逆にエラが開く。
 ※1%塩浴は魚への負担が大きく、また実績にも乏しい。
 ※エルバージュの色は日ごとに薄くなって良い。
 ※改善後は0.3〜0.5%の薬浴を2日間行ってから元の池に戻した方が無難。


 説明書にあるエルバージュの使い方

 薬品名  観賞魚用エルバージュ (動物用医薬品)
 成分  1g中にニフルスチレン酸ナトリウム100mgを含有
 使用目的  エロモナス感染症、カラムナリス感染症の治療
 使用方法  1日3回、本剤50〜100gを水1000Lの割合で溶解させ2時間薬浴
 1日3回、本剤20gを水1000Lの割合で溶解させ6時間薬浴
 副作用  効果が強い為、規定量を超えてを投与すると魚を死なせる事になる
 注意事項  日光によって分解してしまい、効力を失う


 説明書にあるグリーンFゴールド顆粒の使い方

 薬品名  グリーンFゴールド顆粒
 成分  本剤10g中に、ニトロフラゾン 5g/スルファメラジンNa 5gを含有
 使用目的  エロモナス感染症、カラムナリス感染症の治療
 使用方法  本剤1gを水32〜40L中に徐々に加えた後よく混和
 副作用  効果が強い為、規定量を超えてを投与すると魚を死なせる事になる
 注意事項  フラン剤は、日光によって分解してしまい効力を失う


 病気が発生した池や使用した飼育器具

難治性であった場合は消毒を行いますが、この場合は池の水を抜いて
晴天下で乾燥させる方法が基本となります。

しかし、天日干しが不可能の場合は、イソジン2倍希釈液を
散布して乾燥させる方法が良いでしょう。

この場合、容器にイソジンの色が付きますが、2日程度で消えると言えるでしょう。
もし気になる場合はハイポで中和させる事が出来ます。


 予防法

詳しくは、「鰓病の最前線」にて。




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