金魚ヘルペス (別名 : ヘルペス)


 概要

キンギョヘルペスウイルスの感染によって起こる病気で、造血組織を破壊して貧血死させる事から、
ヘルペスウイルス性造血組織壊死症とも呼ばれます。

ヘルペスウイルスの感染では魚の体表に異常が現れる事が殆ど無く、
もし体表に異常が現れた場合は混合感染である可能性があります。





 原因生物

キンギョヘルペスウイルス


 生態

感染魚からばら撒かれるウイルスは水中に紛れ込み、感染できる魚にめぐり合うのを待ち続けます。

やがて、15〜28度程度の環境下でターゲットにめぐり合うと、
ウイルスは複製プログラムの入った核酸を魚体の細胞内に注入し、
そして、魚体を構成する物質を材料にして、子ウイルスを大量に作る様に感染細胞に指令を与えます。

生じた子ウイルスは水中にばら撒かれ、さらなる子ウイルスを作り出すという悪循環に陥ります。

感染魚は、ウイルスに対する抗体(免疫)を完成させる前に、
貧血による多臓器障害やショックで死んでしまう事が殆どです。

ウイルスは水温が28℃以上、15℃以下で活動を停止すると言われています。
だた、死滅する訳ではないので注意が必要です。


 免疫とキャリアー化

33〜34度程度の高水温下ではウイルスに対する免疫が出来ると言われています。

しかし、免疫を獲得した事で生き残る事が出来たとしても、ウイルスが体内に残る事で
キャリアーとなり、ウイルスを排泄する可能性がある為に隔離が必要となります。


 好発時期

水温が15〜30度の時期。


 症状

感染した魚は4〜6日で造血破綻に陥り、貧血と共に混合感染が生じる事で様々な症状を来たします。
また、伝染力や致死率は異常に高く、1週間程度で飼育魚のほぼ全てを失う場合が殆どです。





 当養魚場での治療方針

 @〜Gを同時に開始する事を基本として、3〜5日間の薬浴を繰り返す。

 @ 絶食。
 A 水換え。(舟に移し100%新水を使用。たたき池は不可。)
 B 十分なエアレーション。(少なくとも池の2隅に設置。)
 C 3日以内に30℃の水温にする。
 D 0.5%塩浴。(1日目から0.5%塩浴)
 E イソジン30滴/100L。
 F メチレンブルー40滴/100L。(二次感染の予防)
 G エルバージュ2g/100L。(二次感染の予防)


 病気が発生した池や使用した飼育器具

天日干しに留めることなく、イソジン2倍希釈液を散布して乾燥させる方法が良いでしょう。

この場合、容器にイソジンの色が付きますが、2日程度で消えると言えるでしょう。
もし気になる場合はハイポで中和させる事が出来ます。





 予防法

ウイルスを持ち込まないの一言に尽きます。ウイルスを持ち込む原因として頻度が高いのは、
新しく魚を購入した場合と品評会に出展した場合です。


 補足

我が国でコイヘルペスウイルスの感染が報告されていますが、
現時点でコイヘルペスウイルスが金魚に感染する事はありません。




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