吸虫病 (別名 : ダクチロギルス病 ・ ギロタグチルス病)

本来のエラ病はこの病気の事であるが、
最近は鰓腐れ病の方をエラ病と表現するのが多い。


 概要

ダクチロギルスやギロダクチルスと呼ばれる0.2〜1.5mm程の寄生虫がエラに寄生し、
組織を食べて崩壊させる事で起こる病気です。


 原因生物

ダクチロギルス(Dactylogyrus)やギロダクチルス(Gyrodactylus)
これらは扁性動物の吸虫類で単世代吸虫に分類されます。


 生態

ダクチロギルスは卵を生んで増殖するのに対し、ギロダクチルスは卵胎生で増えるという違いがありますが、
どちらも雌雄同体で繁殖力が強いと言えるでしょう。

ギロダクチルスは体中の至る所に寄生しますが、ダグチロギルスはエラにしか寄生しない特徴があります。
ただ、魚がいない状況下では直ぐに死んでしまいます。
したがって、感染は魚体から魚体に直接的に行われる事となります。








 好発時期

ダクチロギルスは春から夏の高水温時期。
ギロダクチルスは秋から春の低水温時期。


 症状

軽症

ダグチロギルスがエラに寄生して間がない時は、症状はほとんどありません。
ギロダクチルスが体表面に寄生した時は、粘液の分泌亢進の為に体表は白濁し、白雲病に似た症状を示します。


重症

ダグチロギルスの場合、エラが食い荒らされる事で出血が生じ、エラ呼吸の増加も見られる様になります。
ギロダクチルスの場合、体表面に寄生した部位に出血斑が生じてただれる症状を来たします。


末期

食欲や活動性の低下を来たし、水中を漂う様になります。
やがて、エラが崩壊する事による酸欠か感染による消耗が原因となって死んでしまう結果となります。


 有効と考えられる薬剤
 
 液体  ホルマリン
 マゾテン液−20%

 粉末  トロピカルN
 トロピカルゴールド
 リフィッシュ


 当養魚場での治療方針

 @〜Eを同時に開始する事を基本として、3〜5日間の薬浴を繰り返す。

 @ 魚の活動性が悪い場合のみ絶食。
 A 水換え。(舟に移して100%新水を使用。たたき池は不可。)
 B 十分なエアレーション。(少なくとも池の2隅に設置。)
 C 寒い季節なら25℃程度の水温。(1日の最大上げ幅は2〜3℃。)
 D 0.5%塩浴。(1日目から0.5%塩浴。)
 E リフィッシュ。(3〜5日間の永久浴を繰り返す。)

 ※魚に活動性がある際は、少量の生餌を与えた方が治療成績は良くなる。
 ※治療池の水が腐った様な臭いがする場合は直ぐに水換えを施行する。


 説明書にあるリフィッシュの使い方

 薬品名  リフィッシュ
 成分  100ml中、トリクロルホン20gを含有
 使用目的  ウオジラミ、イカリムシ、ギロダクチルス、ギロダクチルスの駆除
 使用方法  1回量として、本剤を2.5mlを飼育水1000Lの割合で薬浴
 必要に応じて2〜3週間の間隔で反復散布
 副作用  高水温や高いpHでは餌を食べなくなる ・ 神経障害を起こす危険がある
 注意事項  アルカリにより効力低下 ・ 28℃以下での使用が必要


 病気が発生した池や使用した飼育器具

池の水を抜いて晴天下で乾燥させる方法が基本となります。

しかし、天日干しが不可能の場合は、イソジン2倍希釈液を散布して
乾燥させる方法が良いでしょう。

この場合、容器にイソジンの色が付きますが、2日程度で消えます。
もし気になる場合はハイポで中和させる事も出来ます。




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