病気の予防と初期治療


1.病気の原因について

病気は普段の飼育の仕方で予防出来る。

病気の原因の殆どは、飼い主の身勝手な飼育や一人よがりの親切心にあります。
可愛さのあまり水温や水質を無視して餌を与えてしまう事、水換えを怠る事などが原因となる訳です。

したがって、普段から病気の予防を意識した飼育を心掛ける必要があります。

●病気の予防

餌について
・変質した古い餌は与えない。
・水温と天候を考えて与える。
・時間帯を考えて与える。
・肥満魚にしない。

水について
・定期的な水換えを行う。
・水温の急変に注意する。
・水質の悪化に注意する。
・秋から春は青水で飼育をする。

飼育環境について
・信頼出来るショップで購入する。
・魚に刺激を与えない。
・1日に3時間は池に直射日光を当てる。
・水面の風通しを良くする。
・適切な飼育密度を維持させる。
・酸素不足に注意する。
・過保護な飼育を行わない。







2.病気の発見について

病気の早期発見する事が重要。

ランチュウの病気は、主に感染性疾患と内臓疾患の2つに分ける事が出来、
これらの病気になった場合は体表面や動作に何らかの異常が現れる事となります。

病気は進行するほど治る可能性が低くなってしまい、食欲もなく、池底や水面に静止したままになると、
非常に高い可能性で魚は死んでしまう結果となります。

また、運よく病気から回復した場合でも、姿を大きく崩す結果、
観賞価値が著しく低下してしまうと言えるでしょう。

したがって、日頃からランチュウをよく観察する事で、異常を早期に発見することが極めて重要です。

●早期発見する上での着眼点。

・動作の異常。
・食欲の異常。
・体色の異常。
・体表の異常。
・糞の異常。



3.病気の対処・・・基本@

塩と薬剤の併用が基本。

病気になった際の基本的な治療方針として、隔離と絶食、
酸素供給と新水を使った薬浴が大切となります。

隔離する事で伝染を最小限度に留め、絶食する事で消化不良を予防し、
酸欠予防の為に酸素を供給し、病原菌に対して薬を使用する訳です。

薬の使用に関しては、塩(0.5%)と薬剤(1種類)の併用療法が基本となりますが、
活性炭を使用していると薬の成分が吸収されるので、薬浴中は活性炭を除去する必要があります。

治療中は魚の様子を必要以上に見ない事も大切です。魚への負担を軽減させる為です。

●病気の対処

・隔離する。
・絶食する。
・十分な酸素供給を行う。
・100%新水に移す。
・0.5%の塩浴と薬浴を開始する。
・日覆いをする。
・活性炭を除去する。



4.病気の対処・・・基本A

塩と薬剤1つの併用が基本。

他の薬剤と併用する事で有害物質が発生する場合や作用の増減が生じる場合があります。

また、市販されている薬剤は「治療効果」と「魚への副作用」を考えた上で調剤されている為に、
他の薬剤を併用させるとバランスを失う可能性が生じます。
ある特定の成分が濃くなる事で副作用が強く生じると言う事です。

したがって、治療にあたっては、浸透圧を調整する目的で
0.5%の塩浴と薬剤(1種類)の併用が基本となります。

なお、塩とホルマリンの組み合わせは、ホルマリンが転化する事で反応物を生成し、
それが生体内に取り込まれてしまう可能性があると言う報告があります。

●塩と併用する薬剤の基本

・説明書に書かれた用法用量を守る。
・有効な1種類薬剤を使用する。
・2剤併用で副作用増強の可能性がある。
・塩とホルマリンの組み合わせは不可。







5.病気の対処・・・基本B

塩と薬剤1つの併用が基本。

他の薬剤と併用する事で有害物質が発生する場合や作用の増減が生じる場合があります。

また、市販されている薬剤は「治療効果」と「魚への副作用」を考えた上で調剤されている為に、
他の薬剤を併用させるとバランスを失う可能性が生じます。ある特定の成分が濃くなる事で
副作用が強く生じると言う事です。

したがって、治療にあたっては、浸透圧を調整する目的で0.5%の塩浴と薬剤(1種類)の
併用が基本となります。

なお、塩とホルマリンの組み合わせは、ホルマリンが転化する事で反応物を生成し、
それが生体内に取り込まれてしまう可能性があると言う報告があります。

●塩と併用する薬剤の基本

・説明書に書かれた用法用量を守る。
・有効な1種類薬剤を使用する。
・2剤併用で副作用増強の可能性がある。
・塩とホルマリンの組み合わせは不可。



6.病気の対処・・・実際@

鑑別できない時は初期治療を行う。

病気の際は早急に対処する為にも、病気の鑑別が必要となりますが、
実際の所、自信を持って病気の鑑別を行えない事も多々あります。

私の場合、鑑別が出来ない時は様々な病気に幅広く効果を示す初期治療を行います。
具体的には、メチレンブルーとエルバージュを併用した0.8%の塩浴を施行する事としています。



7.病気の対処・・・実際A

初期治療は幅広い疾患に強力な効果を示す。

初期治療で使うメチレンブルーとエルバージュによって、
原生生物と細菌と真菌感染症を幅広くカバーする事が可能となります。

更に0.8%の塩浴も様々な感染性疾患をカバーしますので、
これらを併用する事で幅広い疾患に対して強力な治療を行う事になる訳です。

ただ、寄生虫に対しては、塩浴だけでのカバーとなる問題と、ウイルスに対しては無効である問題が生じます。
これらの疾患に対して初期治療では効果不足と割り切る事も大切です。







8.病気の対処・・・実際B

効果判定は48時間後に行う。

初期治療の効果判定は、48〜72時間後が目安となります。
抗生物質の効果発現時間を考慮しての時間です。

初期治療が有効であると判断した場合は、そのままの状態で回復を待ちますが、
無効であった場合は再鑑別と薬剤の変更が必要となります。

私の場合、初期治療が無効の際は早急に薬剤の変更を行う為に、
効果判定を48時間後としています。

●鑑別できない時の初期治療

1.100%新水を入れた舟を用意する。
2.舟の4隅にエアレーションを行う。
3.0.8%の塩水とする。
4.メチレンブルー:60滴/100L
5.エルバージュ:4g/100L
6.やや低い密度で薬浴させる。
7.10時〜16時は池の8割をスダレで覆う。

※薬剤は初回に1度に投与するだけで良い。
※水温は上げない方が無難と言える。
※効果判定は開始して48〜72時間後に施行。







9.病気の対処・・・実際C

再鑑別では内臓疾患の可能性も考慮する。

初期治療が無効な場合は再鑑別を行う必要が生じますが、病気が発生して
48時間が経過している事から、
新しい症状が出ている可能性もあります。

したがって、入念に魚を観察する事は再鑑別を行う上で重要となります。

この際、本当に感染性疾患であるかの判断も重要なポイントです。
内臓疾患の再検討を行う必要があると言う事です。

鑑別によって病気を診断した場合は、病気に応じた適切な治療を行えば良いでしょう。
しかし、再鑑別でも原因が分からない場合は第2次初期治療を行う必要性が生じます。

●再鑑別を行うに当たって

・入念に魚の観察を行う。
・感染性疾患だけを考えてはいけない。
・鑑別が出来れば適切な治療を開始する。
・鑑別出来ない際は第2次初期治療を開始する。







10.病気の対処・・・実際D

第2次初期治療では薬剤の変更が必要。

第2次初期治療は、0.8%塩浴に加えてアグテンとグリーンFゴールド顆粒と
リフィッシュを併用します。可能であればパラザン粉末の経口投与も行うとより効果的です。

これによってウイルスを除く全ての感染症をカバーする事が可能となる訳です。

第2次初期治療の効果は非常に強い為に、幅広い疾患を対象とする治療の中で
最終手段的な意味合いを示します。

効果判定については、抗生物質を使用した治療の効果判定が48〜72時間後である為に、
第2次初期治療の効果判定も48〜72時間後が目安となります。

ただ、有機リン系の薬剤を併用する場合は、水温とpHに注意が必要となります。

●第2次初期治療

1.100%新水を入れた舟を新しく用意する。
2.舟の4隅にエアレーションを行う。
3.0.8%の塩水とする。
4.アグテン:10ml/100L
5.グリーンFゴールド顆粒:4g/100L
6.リフィッシュ:0.5g/100L
7.やや低い密度で薬浴させる。
8.10時〜16時は池の8割をスダレで覆う。
9.食欲があればパラザン粉末の経口投与。

※薬剤は初回に1度に投与するだけで良い。
※28℃以下の水温とする。
※8.0以下のpHとする。
※効果判定は開始して48〜72時間後に施行。



11.病気の対処・・・実際E

第2次初期治療が無効なら完治は難しい。

第2次初期治療で効果を示さない場合、内臓疾患の可能性または
ウイルス感染の可能性が高くなります。

ここで、魚の体表面に注目し、もし何らかの異常を認めている場合は、
ウイルス感染としてヒーターとイソジンの使用を考慮しなければなりません。

ただ、ウイルス感染を前提としたヒーターの使用は、急激な水温の上昇によって
魚に大きな負担を与える為に、治療死させてしまう事を覚悟の上で施行する必要があります。







12.病気の対処・・・実際F

水温を上げる行為は大きな負担となる。

寒い季節に発生した病気の治療では、ヒーターの使用が必要となりますが、
この場合、20℃以下の水温を30℃以上にする行為は致死的行為となりますので、
上限を25℃程度に留める事が重要です。

ヘルペスの治療では水温を上昇させる訳ですが、この場合、20℃以下の低水温であっても
30℃以上にする必要がある為に、死なせてしまう事を覚悟した上で施行する必要があります。

治療で水温を上げる行為は魚にとって非常に大きな負担となる為に、
これらの場合を除いて極力行わない方が良いと私は考えます。

●ヒーターを使った治療について

・水温を上げる行為は大きな負担を与える。
・20℃以下を30℃以上にするのは致死的。
・ヘルペスでは致死的行為を敢えて行う。










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