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青水と青苔
1.青水について
青水はランチュウ飼育に大きく係わっている。
昔から「ランチュウづくりは水づくり」と言われるほど、
青水はランチュウの飼育に大きく係わっています。
青水を顕微鏡で観察すると、生きた動物性・植物性プランクトンが無数に含まれており、
これらはランチュウにとっての格好の天然飼料となります。
動物性・植物性プランクトンは、良質な蛋白質を含んでいるだけでなく、
ビタミン・ミネラルが豊富に含まれている為です。
なお、青水は「飲み頃の日本茶」くらいの濃さが最適であると言われます。
●青水の役割
@骨格形成の効果。
→豊富なミネラルを含む事で骨格が発達する。
A摂食抑制の効果。
→青水が濃くなるにつれて餌の量を減らす。
B運動抑制の効果。
→縦方向への成長は抑制される。
C水温保持の効果。
→水換えでは水温差に注意が必要となる。
D体調維持の効果。
→豊富な栄養と水温の保持で体調が維持される。
E保護色の効果。
→濃い青水ほど体色は濃く仕上がる。
F色揚げの効果。
→濃い青水ほど色揚げ効果は強い。
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2.青水の色
青水には緑系と茶系の2種類がある。
水温が低下する時期に見られ易い事ですが、青水の様子をよく観察すると「緑系」と「茶系」の2種類が
ある事に気づきます。そして、ある1面だけが「茶系」になっているのを発見し、
あわてて水換えをした経験のある方も多いのではないでしょうか。
しかし、結論から言いますと、「緑系」であっても「茶系」であっても、
青水としての効果には全く変わりがありません。
なぜなら、この現象は池の水質や日照時間の微妙な違いの影響によって、
水中で優位に繁殖する植物性プランクトンが異なる結果となった為です。
もう少し具体的に言いますと、青水の色の基となる藻類(植物プランクトン)には、
緑色の緑藻類、緑黒色の珪藻類、紅色の藍藻類の3つがあり、
これらの内どれが優位に繁殖しているかで青水の色が決まる訳です。
一般的に、「茶系」の青水の方が維持し難いとされていますので、エアレーションを幾分強めて
水を拡散させる方法や液肥を使って青水化を進める方法などの対処が必要となります。
ただ、青水が一晩にして沈殿し、池の水が澄んでしまう様な現象が生じた場合は問題です。
水質に異常が生じた事が予想される為です。
したがって、魚を守る為にも早急に水換えを行った方が良いでしょう。
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3.青仔と青水の基本と実際
土台づくりに青水が有効とされる。
昔から、将来に向けた骨格等の土台づくりの為には、青仔を出来る限り良質の青水の中で飼う事で、
多くのプランクトンを食べさせる事が大切であると言われています。
しかし、実際の所、骨格等の土台づくりのほとんどは、まだ鱗をまとっていない稚魚期に行うものであり、
青仔の時期に骨格形成を目的とした青水の使用は必要性に乏しいと私は考えます。
また、青仔の時期に濃い青水で飼育すると、縦方向への成長が抑制されてしまい、
丸手の姿(昔ながらの姿)へと仕上がってしまいます。
これは長手が主流である現在に反する結果と言えるでしょう。
私の場合、稚魚期に新水で限界量の餌を与える事で土台を創り、孵化後3ヶ月〜褪色直前までは
新水の1〜2%量の青水を水換え時に加える事で、青水の効果を得る方法を採用しています。
この場合の青水の使用目的は、褪色後の色揚げを向上させる事と形固定を行う事が中心となります。
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4.夏場の青水
夏場はガス病に注意する。
夏場は強い日差し・水温の上昇・魚の活動性の増加などによって青水化が急激に進みます。
そして、この様な環境下で青水を使った飼育を行うと、ガス病を引き起こす結果となります。
ガス病を防ぐ為にも、朝の時点でやや濃い日本茶色の青水であれば、その日の午前中に
水換えを行った方が良いでしょう。その日の夕方には進み過ぎた青水となってしまう事が多い為です。
この様な事から、夏場の水換えでは割水を行わず、
100%新水を使用して早めの水換えを行う事が基本となります。
5.冬場の青水
青水の成分を沈殿させない様に注意する。
水温が低下して来る時期になると、弱い日差し・低水温・魚の活動性の減少の為に、
飼育水の青水化は非常に緩やかとなります。
そして、この様な環境下で青水を維持させる為には、水換えで割水を行う必要がある訳です。
冬眠中、日照不足等で青水が薄くなってしまう傾向を示しますので、エアレーションを
強める事で水を拡散させる方法や液肥を使って青水化を進める方法を行う場合があります。
急速に青水が沈殿して池が澄んでしまった場合、水質悪化が疑われるので、
必要に応じて冬眠中でも水換えを行った方が無難と言えます。
6.品評会と青水
会魚と種魚は青水の使い分けが必要。
青水の使用方法は、会魚を創る場合と種魚を創る場合で異なります。
会魚の場合は縦方向を意識しながら成長を加速させ、12cm以上に仕上げる必要がありますが、
種魚の場合は縦方向と横方向の両方向に成長させ、どっしりと仕上げたいものです。
また、会魚の場合は色揚げに拘る必要がありますが、
種魚の場合は系統の範囲以上に色揚げを行う必要はありません。
この様な事から、会魚は会魚らしく、種魚は種魚らしく仕上げる為に、
以下の様な青水の使い分けを私は行います。
●会魚と種魚の青水の使い分け。
会魚
・褪色前の2〜4週間は色揚げを目的として新水の1〜2%量の青水を加える。
・品評会の2週間前から濃い青水で飼育し色揚げを行う。
・冬季にヒーターを使って飼い込みを行う場合は青水の必要はない。
・青水がもたらす効果を青苔に求める事を考慮する。
種魚
・褪色前の2〜4週間は成長抑制を目的として新水の3〜5%量の青水を加える。
・冬眠前は水温の低下に伴って濃い青水を使い体調保持と餌の減量を図る。
・冬眠中は水温保持と体調維持の為に濃い青水で飼育を行う。
・青水の使用で春に向けての体調維持を図る事を基本とする。
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7.青苔について
掃除では青苔を取り除かない事が基本。
青苔そのものはランチュウにとって格好の天然飼料となる上、
動物性プランクトンの生息の場としても重要な役割を果たします。
つまり、ランチュウが青苔を食べる際、同時に多くのプランクトンも青苔と一緒に食べている訳です。
また、池の側面や底一面にびっしりと生えた青苔は、魚に周りの環境が黒っぽいという事を知らせます。
これによって魚の体色は保護色で濃くなるという効果をもたらす訳です。
この効果は無視出来ないものであり、青苔を使用しない飼育を行う場合は、
炭を混ぜた黒いタタキ池の使用を考慮する必要がある程です。
なお、一般的に青苔の効果と青水の効果はほぼ同様と考えられています。
しかし、青水にある「摂食抑制効果」と「運動抑制効果」と「水温保持効果」は、
青苔には期待し難いと言えるでしょう。
●青苔の役割
@骨格形成の効果。
→豊富なミネラルを含む事で骨格が発達する。
Aプランクトンを生育させる効果。
→プランクトンが生育する場となる。
B運動促進の効果。
→青苔を食べる際に泳ぐ必要がある。
C肉瘤の発達促進の効果。
→青苔と肉瘤の関係は昔から言われている。
D体調維持の効果。
→豊富な栄養で体調が維持される。
E保護色の効果。
→分厚い青苔ほど体色は濃く仕上がる。
F色揚げの効果。
→分厚い青苔ほど色揚げ効果は強い。
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8.品評会と青苔
青水の代わりとして非常に大切。
青苔での飼育は、青水とは正反対の運動促進効果がある事、青水よりも摂食抑制効果が少ない事、
濃い青水と同程度の色揚げ効果がある事から、
魚の色揚げを行いながら縦方向に成長させる事が出来ると言えます。
しかし、青苔ばかりに拘って青水を使用しない飼育を行うと、十分な色揚げや成長の
コントロールが出来ない可能性がありますので注意が必要です。
したがって、上手に青水と青苔を組み合わせ、色揚げや成長を
絶妙にコントロールする事が大切となる訳です。
私の場合、成長期は低カロリーの青苔を完全に除去する事で最大限の成長促進を目指します。
また、色揚げを行う場合は、濃い青水と分厚い青苔を使用しながら
色揚げ用ペレットを2週間程度与え続けます。
成長させながら青苔の効果を得る為に、青苔を半分除去する方法や
4分の3除去する方法などを行う場合もあります。
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9.プラ舟と青苔
青苔の生えた「石」や「飾り」を沈めると良い。
プラ舟の場合、表面を金属タワシなどで傷つけたとしても、なかなか青苔が生えてきませんし、
例え生えたとしても直ぐに表面から剥がれてしまいます。
したがって、青苔の効果を魚に与える事は難しいと言えるでしょう。
しかし、青苔が生えなくても、青苔を投与する事は可能です。
つまり、びっしりと青苔の生えた「石」や「飾り」をプラ舟に沈める方法があると言う事です。
プラ舟での飼育で、色揚がりの問題が解決していない場合、
この方法を試す価値は十分にあると私は考えます。
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10.早急に青水や青苔を作る方法
液肥を飼育水に加えると良い。
冬眠前や冬眠中、交配前後の期間は青水や青苔を使用した飼育を行いたいものですが、
青水や青苔の成長促進を試みても、なかなか出来上がらない場合があります。
この場合、液肥(ハイポネックスなど)を使用すると良いでしょう。
魚がいる池にそのまま少量(キャップ半分量)を投与しても良いですし、もし不安であれば
予備池にやや多めに投与し、そこで早急に青水を作り上げ、魚がいる池に混ぜても良いでしょう。
この方法は早急に青水や青苔を得たい場合、非常に有効なものと言えます。
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